高いトリートメントを使っているのに、髪がきれいにならない。
美容室で仕上げてもらった日はきれいなのに、家で洗うと元に戻る。
シャンプーを変えたほうがいいのか迷っているけれど、成分表を見ても何が書いてあるのか分からない。
こうした状態にいる人は、とても多いです。そして、この状態のまま「アミノ酸系がいいらしい」「ノンシリコンにしたほうがいい」「ラウレス硫酸は避けたほうがいい」といった断片的な情報を集めると、かえって判断できなくなります。
この記事で考えるのは、「シャンプーかトリートメントのどちらかしか使わない」という話ではありません。両方を使う前提で、購入するときにどちらをより重点的に選ぶべきかです。
その答えを先に言うと、重点を置くならシャンプーです。その理由を確認したうえで、洗浄成分が何をしているのか、成分名からどこまで判断できてどこから判断できないのか、洗い方と頻度をどう決めるのかを順番に説明します。
読み終わったときに、成分表を暗記するのではなく、自分の頭皮と毛先の状態から、必要な洗浄力とケアの重さを自分で決められる状態を目指します。
先に結論:両方使う。でも購入で重点を置くならシャンプー
最初に、この記事の問いをはっきりさせます。
シャンプーとトリートメントは、どちらも使います。
そのうえで、
どちらをより慎重に選ぶか
どちらに先に予算をかけるか
どちらが自分に合っているかを先に確認するか
と聞かれたら、基本はシャンプーを優先します。
これは「シャンプーだけ良ければトリートメントは何でもいい」という意味ではありません。まして「トリートメントは不要」という話でもありません。
両方必要。ただし、購入時の優先順位はシャンプーが先。この記事の結論はここです。
なぜシャンプーを先に選ぶのか
一番大きい理由は、シャンプーは毎回、頭皮と髪の両方に対して「何をどこまで落とすか」を決める工程だからです。
洗浄が自分に合っていなければ、
頭皮が洗った直後につっぱる
かゆみや乾燥感が出る
逆に皮脂やスタイリング剤が残ってべたつく
毛先が毎回きしみ、絡みやすくなる
カラーやブリーチ毛では洗髪後の扱いにくさが強くなる
といったズレが、洗うたびに繰り返されます。
そのあと高価なトリートメントを使っても、頭皮を洗いすぎたことや、必要な汚れを落としきれていないことは修正できません。
だから購入するときは、まず「自分の頭皮・スタイリング剤量・洗髪頻度に、このシャンプーの洗浄が合うか」を考える。トリートメントは、そのうえで毛先の状態に合わせます。
「高いシャンプーを買え」という意味ではない
ここは重要です。
シャンプーを優先する=シャンプーの値段を上げる、ではありません。
2,000円のシャンプーが5,000円のシャンプーより自分に合うこともあります。市販品よりサロン品が必ず上という意味でもありません。
優先するのは値段ではなく、選ぶときの判断です。
先に、
頭皮は乾燥しやすいのか、脂っぽくなりやすいのか
ワックス・バーム・オイルなどをどの程度使うのか
毎日洗うのか、洗髪間隔が長いのか
洗った直後にきしみ・つっぱり・べたつきが出ないか
を確認して、シャンプーを決めます。
そのあと、毛先の乾燥やダメージに合わせてトリートメントを選ぶ。この順番です。
トリートメントは二番手でも、重要ではないわけではない
トリートメントやコンディショナーは、毛髪表面をなめらかにし、絡まりや摩擦を減らして扱いやすくする役割があります。
特に、
長い髪
カラー毛
パーマ毛
ブリーチ毛
からまりやすい髪
では重要度が上がります。
ただし、重要度が上がることと、購入優先順位が逆転することは別です。
トリートメントは洗浄後の毛髪を整えるものです。ブリーチ毛であっても、頭皮と髪へ毎回使うシャンプーが合っていない状態を、家庭用トリートメントだけで帳消しにはできません。
ブリーチ毛でも、基本の購入優先順位は変えない
ブリーチ毛ではコンディショニングが非常に重要です。濡れた状態では絡まりや摩擦の影響を受けやすく、トリートメントを省くのはおすすめできません。
でも、ここで話しているのは「使う・使わない」ではなく、「購入するときにどちらを重点的に考えるか」です。
その意味では、ブリーチ毛でも基本は変えません。
まず、自分の頭皮に必要な洗浄力を確保しつつ、毛先へ過剰な負担をかけにくいシャンプーを選ぶ。
そのうえで、ブリーチ毛に必要なコンディショニングをトリートメントで足す。
高価なトリートメントを使うために、シャンプー選びを適当にしてよい理由にはなりません。
この記事の答え
ここまでを一文でまとめます。
シャンプーとトリートメントは両方使う。ただ、どちらを重点的に選んで購入するかなら、まずシャンプー。トリートメントは毛先の状態に合わせて、その次に選ぶ。
これを前提に、ここから「では、どんなシャンプーを選べばいいのか」を詳しく見ていきます。
シャンプーは何をしているのか
ここで押さえるのは一つだけです。シャンプーは「落とすもの」であって、髪を作り直すものではありません。
落としている対象
シャンプーが洗い流しているのは、主に次のようなものです。
皮脂
頭皮の毛穴に付属する皮脂腺から分泌される油分です。時間が経つと酸化して、べたつきやにおいのもとになります。
汗と、その残り
汗そのものはほとんど水ですが、乾いた後に成分が残ります。
ほこり・外からの汚れ
空気中のちりや花粉などが、皮脂に付着した状態で残ります。
スタイリング剤
ワックス、オイル、バーム、スプレー、ヘアミルクなど。これが洗浄の必要量をいちばん大きく変える要素です。
シリコーンなどの油性成分
前日に使ったトリートメントやアウトバス製品に含まれる油分も、洗い流す対象に含まれます。
役割を終えた角質
頭皮も皮膚なので、古い角質が剥がれ落ちます。剥がれ落ちたものが目に見えるようになったものが、いわゆるフケです。
においのもとになるもの
皮脂が酸化したもの、常在菌の代謝によるものなどが混ざっています。
「皮脂を全部落とせば良い」ではない
ここは間違えやすい部分です。
頭皮の皮脂は、悪者ではありません。皮膚の表面で汗と混ざり、外からの刺激をやわらげたり、水分が逃げすぎないようにしたりする役割を持っています。
シャンプーの目的は、皮脂をゼロにすることではありません。余分な分と、そこに付着した汚れを落として、頭皮が快適な状態に戻ることです。落としすぎれば、つっぱりやかゆみ、フケにつながります。
髪と頭皮、どちらを洗っているのか
「シャンプーは髪を洗うもの」と思っている人が多いのですが、実際には頭皮の洗浄がかなりの比重を占めます。皮脂が分泌されるのは頭皮であり、においやべたつきの発生源もそこです。
一方で、「頭皮だけ洗えば髪は洗わなくていい」というのも極端です。毛先にもほこりは付きますし、スタイリング剤を毛先中心につけている人なら、そこを洗う必要があります。
現実的な目安はこうです。
頭皮:指の腹で、面としてしっかり洗う
毛先:頭皮を洗った泡が流れて通れば足りることが多い
ただし、毛先にスタイリング剤やオイルを多く使った日は、毛先も意識して洗う
毛先をゴシゴシこすり合わせて洗う必要はありません。濡れた髪は摩擦に弱いので、こする洗い方はダメージ側に働きます。
トリートメントは何をしているのか
先に大事な前提を書きます。トリートメントは、傷んだ髪を生物学的に治すものではありません。
髪は「すでに作り終わった組織」
髪の毛は、皮膚の中で作られて外に出てきた時点で、生きた細胞としての活動を終えています。爪と似ていて、外に出ている部分が自分で修復することはありません。
だから、切れ毛や枝毛が元通りにくっつくことも、ブリーチで変化した内部の構造が元の状態に戻ることもありません。「傷んだ髪が治る」という表現は、正確ではありません。
では、トリートメントは無意味なのか。そうではありません。
トリートメントがやっていること
表面の摩擦を減らす
これは重要な役割の一つです。洗う・すすぐ・タオルで拭く・乾かす・とかすといった日常動作では毛髪同士の摩擦が生じます。表面をなめらかにし、絡まりを減らすことで、日常動作に伴う機械的な負担を減らしやすくなります。
指通りをよくする
からまりにくくなれば、とかすときの力が減ります。これも結果的にダメージを減らします。
静電気を抑える
髪の表面は、乾燥した状態でこすれると帯電しやすくなります。帯電すると髪同士が反発して広がり、さらに摩擦が増えます。これを抑えます。
傷んだ部分に成分を吸着させる
毛髪表面は処理やダメージによって電荷の状態が変わり、カチオン性のコンディショニング成分やポリマーが毛髪へ吸着して、摩擦や櫛通りを改善するよう設計されることがあります。実際の吸着量や効果は、成分の種類と処方全体で変わります。
油分と保湿成分を補う
失われた油分の代わりに、なめらかさとまとまりを与えます。
「治らないのに意味があるのか」
あります。
髪を建物にたとえると、トリートメントは修復工事ではなく、外壁の塗装とメンテナンスに近いものです。構造そのものを新しくするわけではありませんが、そこから先の劣化を遅らせ、見た目と手触りを整えます。
そして、この「そこから先の劣化を遅らせる」部分が、実際にはとても大きい。特にブリーチ毛は、濡れているときの摩擦に非常に弱いので、洗った後に何もしないと、洗うたびに削れていきます。
傷んだ髪ほど、トリートメントの重要度は上がります。「シャンプーが大事だからトリートメントは適当でいい」という結論にならないのは、このためです。
コンディショナー・リンス・トリートメントの違い
よく聞かれますが、この三つの呼び分けに、法律で決まった統一基準はありません。メーカーが商品として名付けているものです。
一般的な傾向としては、次のように使い分けられていることが多いです。
一般には、リンス・コンディショナー・トリートメントという呼び名が使われますが、名前だけから機能の強さや作用部位を一律に決めることはできません。メーカーごとの使用方法と製品説明を確認してください。
「トリートメントだから必ず内部まで補修する」「コンディショナーは表面だけ」と決めつけないことが大切です。
なぜ購入時はシャンプーを優先するのか
冒頭で示した理由を、ここで具体的に説明します。
シャンプーは洗浄を担うので、頭皮に合っていないと毎回の洗髪で不快感が繰り返されるという特徴があります。だから「シャンプー選びは大事」と言われます。
1. 毎日使う
トリートメントを週に何回使うかは人によりますが、シャンプーはほぼ毎回使います。合わないものの影響は、回数の分だけ積み重なります。
2. 頭皮に直接触れる
トリートメントは中間から毛先に使いますが、シャンプーは頭皮の皮膚に直接触れます。頭皮の状態に影響しうるのは、基本的にシャンプー側だけです。
3. 洗浄が先の工程にある
必要以上に落としてしまった状態から始めると、後の工程で埋めるべき差が大きくなります。逆に、落としきれていない状態でトリートメントを重ねれば、重さやべたつきにつながります。
トリートメントでは、洗浄の過不足は解決できない
条件が重なっているだけなら、「影響が出やすい」で終わる話です。重点をシャンプーに置く理由は、その先にあります。
頭皮が乾燥してつっぱっている、洗ったあと強くかゆい、逆に洗ってもべたつきが残る。こうした問題は、毛先用トリートメントを高価なものに変えても解決できません。
一方で、毛髪の絡まりや乾燥感は、トリートメントだけでなく、濡れた髪をこすらない・タオルで押さえる・やさしくとかすなどの扱い方も合わせて見直します。
洗浄の問題と、毛髪コンディショニングの問題を別々に解く。これが大切です。
現場でよく見る、噛み合っていない組み合わせ
高価なトリートメントを使っているが、毎日ゴシゴシと爪を立てて洗っている
毛先を守りたくて洗浄力の弱いシャンプーを選んだが、スタイリング剤が落ちきらず、頭皮がべたついている
頭皮がべたつくのに、毛先の乾燥を気にして、しっとり系のシャンプーを使っている
いずれも、毛先を守るための対策を、頭皮側の選択で行おうとしているという共通点があります。守りたい場所と、手をつけている場所がずれています。
シャンプーに重点を置くというのは、単純に高いシャンプーを買うという意味ではありません。購入時にまず、頭皮の状態・スタイリング剤量・洗髪頻度に合う洗浄かを確認するということです。そのうえで毛先の乾燥やダメージを、トリートメントやアウトバスで調整します。
界面活性剤とは何か
ここは専門用語が出てきますが、覚えるのは「水と油の仲立ちをするもの」という一点だけで十分です。
水だけでは油が落ちない理由
水と油はそのままでは混ざりにくいため、皮脂や油性のスタイリング剤は水だけでは十分に取り除きにくいことがあります。
食器についた油汚れを、水だけで洗い流そうとしたときのことを思い出してもらうと分かりやすいです。ぬるつきが残ります。

界面活性剤の構造
界面活性剤は、一つの分子の中に、水と仲の良い部分と、油と仲の良い部分の両方を持っています。
親水基(しんすいき):水と仲の良い側。分子の「頭」にあたる部分
親油基(しんゆき)/疎水基:油と仲の良い側。分子の「しっぽ」にあたる部分
マッチ棒のような形を想像してください。頭が水側、細長い軸が油側です。
ミセルという仕組み
界面活性剤を水に入れて量が増えていくと、分子同士が集まって、油と仲の良いしっぽを内側に、水と仲の良い頭を外側に向けた球状のかたまりを作ります。これがミセルです。
この球の内側は、油と仲の良い環境になっています。そこに油汚れが取り込まれます。
外側は水と仲が良いので、球ごと水に流されていきます。これが「油を水に包み込んで洗い流す」ということの中身です。
汚れを分解しているのではなく、水に運べる形にして流している、と理解してください。
界面活性剤は「怖いもの」なのか
そうではありません。
界面活性剤は、シャンプーだけに使われる特別なものではありません。乳液もクリームも、水と油を混ぜるために界面活性剤を使っています。食品にも、水と油を混ぜる目的で使われるものがあります。私たちの体の中にも、脂肪を消化するために似た働きをする物質があります。
「界面活性剤」は、特定の一つの物質の名前ではなく、この働きをする物質の総称です。だから「界面活性剤だから危険」という言い方は、成立しません。
同時に、「だから何でも安全」でもありません。種類、濃度、他の成分との組み合わせ、肌に触れている時間によって、性質はまったく変わります。
食器用洗剤とシャンプーを同じに扱わない
「シャンプーは食器用洗剤と同じ」といった説明を見かけることがありますが、これは乱暴です。
使われている界面活性剤の種類も、濃度も、想定している使用時間も、設計上のpHも違います。目的が違えば処方も違います。同じ「界面活性剤を使っている」という一点だけで同一視するのは、「どちらも水を使っているから同じ」と言うのに近い話です。
洗浄成分の種類
成分名は覚えなくて大丈夫です。ここで持ち帰ってほしいのは、「シャンプーは複数の洗浄成分を組み合わせて作られている」という一点です。
界面活性剤は、水に溶けたときに親水基がどんな電気的な性質を持つかで、大きく四つに分けられます。
アニオン界面活性剤(陰イオン系)
水に溶けるとマイナスの性質を持つタイプです。
シャンプーでは、アニオン界面活性剤が主要な洗浄成分として使われることが多くあります。泡立ちがよく、洗浄力を出しやすいためです。硫酸系、スルホン酸系、アミノ酸系と呼ばれるものなど、この中に非常に多くの種類があります。
両性界面活性剤
条件によってプラスにもマイナスにもなるタイプです。ベタイン系と呼ばれるものが代表的です。
両性界面活性剤は、アニオン界面活性剤などと組み合わせて使われることがあります。泡、粘度、使用感、刺激性などを含めた処方全体の調整に関わります。
ノニオン界面活性剤(非イオン系)
電気的な性質を持たないタイプです。
洗浄剤として使われることもありますが、他の成分を溶かし込む、乳化させる、泡を安定させるといった補助的な役割で配合されていることが多いです。
カチオン界面活性剤(陽イオン系)
水に溶けるとプラスの性質を持つタイプです。
カチオン界面活性剤は、特にコンディショナーやトリートメントで重要な役割を持ちます。シャンプー処方でもカチオン性ポリマーなどのコンディショニング成分が使われるため、「シャンプーにはプラス電荷の成分は存在しない」とは考えないでください。髪の表面は電気的にマイナスの性質を持ちやすく、しかも傷んだ部分ほどその傾向が強くなります。プラスの性質を持つ成分は、そこに引き寄せられて吸着します。
先ほど「傷んだところほど成分が付きやすい」と書いたのは、この仕組みのことです。
なぜ複数を混ぜるのか
シャンプーの成分表を見ると、洗浄成分らしきものが二つ、三つと並んでいます。これには理由があります。
洗浄力、泡立ち、粘度、すすぎ感、皮膚へのマイルドさ、コンディショニング成分の付着などを処方全体で調整するためです。シャンプーの性質は、単一の界面活性剤名だけでは決まりません。
主になる洗浄成分が、洗浄力と泡を担当する
補助的な洗浄成分が、感触を整え、刺激を和らげる方向に働く
さらに別の成分が、とろみや泡の持ちを調整する
組み合わせによって全体の性質が決まるので、一つの成分名だけを取り出して製品を評価することはできません。ここが、この記事の中心的な主張です。
「アミノ酸系なら優しい」は本当か
先に答えると、傾向としては穏やかなものが多いですが、「アミノ酸系だから優しい」と決めつけることはできません。
アミノ酸系とは何を指しているのか
「アミノ酸系」は、アシル化アミノ酸塩などアミノ酸に由来する界面活性剤を使った製品に広く使われる呼び方です。ただし、製品としての「アミノ酸系シャンプー」に法令上の一律な配合基準があるわけではありません。
成分表では、次のような名前で登場します。
ココイルグルタミン酸系(グルタミン酸由来)
ラウロイルメチルアラニン系(アラニン由来)
ココイルグリシン系(グリシン由来)
ココイルメチルタウリン系(タウリン由来。厳密にはアミノ酸そのものではありませんが、まとめて扱われることが多い)
「ココイル」「ラウロイル」といった頭の部分は、油と仲の良い側がどんな原料に由来するかを示しています。
法的に統一された分類ではない
重要な点です。「アミノ酸系シャンプー」は、医薬品医療機器等法で処方条件まで一律に定義された製品分類ではありません。日本化粧品工業会の広告資料では「アミノ酸系シャンプー」という表示例自体は扱われていますが、表示だけで主洗浄剤の比率まで分かるわけではありません。
どこまでを「アミノ酸系」と名乗るかの基準は、メーカーごとに違います。そのため、次の二つがまったく違うのに、同じように「アミノ酸」と表示されることがあります。
アミノ酸系の洗浄成分が主体で作られている製品
別の洗浄成分が主体で、アミノ酸が保湿目的で少量入っている製品
「アミノ酸」という言葉が、洗浄剤の種類を指す場合と、別目的で配合されたアミノ酸成分を指す場合があるため、広告の言葉だけでは判断できません。
成分表はヒントになりますが、表示から正確な配合比率は分からない点を忘れないでください。
洗浄力は弱いのか
アミノ酸系の洗浄成分は、全体として穏やかな洗い上がりになりやすい傾向があります。ただし、種類によって性質はかなり違いますし、配合量と組み合わせで変わります。
そして、穏やかであることが常に正解ではありません。
ワックスやバームをしっかり使っている
ヘアオイルを多めにつけている
頭皮の皮脂分泌が多い
汗をかく仕事や運動をしている
こうした人が洗浄力の穏やかなものだけを使うと、落としきれずに残ります。残った油分は、べたつき、重さ、におい、泡立ちの悪化につながります。
現場でよく見るのは、毛先の乾燥を心配して洗浄力を落としすぎ、結果として頭皮の状態が悪くなっているというパターンです。守りたいのは毛先なのに、対策の場所を間違えている状態です。
洗い上がりがきしむことがある
アミノ酸系の中には、洗い上がりに髪がきしみやすいものもあります。これは製品の良し悪しではなく、性質です。
きしみが気になる場合は、シャンプーを変えるより、その後のトリートメントで補うほうが解決が早いことがあります。
脂性肌には向かないのか
一律には言えません。
穏やかな洗浄処方でも十分な人はいますし、皮脂やスタイリング剤の量によっては物足りない人もいます。「アミノ酸系だから脂性頭皮には不向き」と一律に決めず、洗った後の頭皮と髪の状態で判断してください。
「高級アルコール系」は悪いのか
この言葉は、初心者がいちばん誤解しやすい用語です。まず名前の話から始めます。
「高級」は値段の話ではない
ここでいう「高級」は、高価という意味ではありません。
化学の分野では、炭素がたくさんつながった長い構造のアルコールを「高級アルコール」と呼びます。逆に、炭素の数が少ないものは「低級アルコール」です。分子の大きさの話であって、品質や価格の話ではありません。
高級アルコール系界面活性剤とは、この高級アルコールをもとにして作られた洗浄成分のことです。
代表的なもの
ラウレス硫酸Na(ラウレス硫酸ナトリウム)
シャンプーなどで広く使われてきたアニオン界面活性剤の一つです。
ラウリル硫酸Na
こちらも古くから使われています。ラウリル硫酸Naとラウレス硫酸Naは構造が異なり、皮膚への作用も同一ではありません。ただし、完成品の刺激性は濃度や共存成分を含む処方全体で変わるため、成分名だけで製品の刺激性を順位づけしないでください。
オレフィン(C14-16)スルホン酸Na
硫酸系とは構造が異なりますが、しっかりした洗浄力と泡立ちを持つものとして使われます。
なぜこれほど広く使われているのか
理由は複数あります。
泡立ちが良く、洗浄力が安定している
泡立ちや洗浄性能を処方設計しやすい
長年多くの製品で使われ、原料特性に関する知見が蓄積している
他の界面活性剤やポリマーと組み合わせた処方が作られている
価格だけで採用理由を説明するのは適切ではありません。
一律に避けるべきなのか
成分名だけを理由に一律に避ける必要はありません。
皮脂やスタイリング剤など、落とす対象が多い人では、十分な洗浄性能を持つ製品が使いやすい場合があります。
スタイリング剤を毎日しっかり使う人
皮脂分泌が多く、夕方には根元がべたつく人
汗を大量にかく環境にいる人
洗浄力の穏やかなシャンプーではにおいが取れない人
こうした人では、洗浄が足りないとべたつきやにおい、製品残りを感じることがあります。かゆみが続く場合は、洗浄力だけでなく皮膚疾患も含めて考える必要があります。必要な洗浄力は人によって違うというのが答えです。
ただし、合わない場合もある
一方で、次のような人には強すぎることがあります。
頭皮が乾燥しやすい
洗った後につっぱる、かゆくなる
化学処理毛で、洗浄後のきしみや乾燥感が強い
毎日洗ううえに、スタイリング剤をほとんど使わない
強い/弱いに善悪はなく、自分の状態に対して合っているかどうかです。

成分名一つで判断できない理由
同じラウレス硫酸Naが入っていても、製品によって使用感はまったく違います。
配合されている量
一緒に入っている補助的な洗浄成分(ベタイン系など)の種類と量
油分やコンディショニング成分の有無
とろみを付ける成分
全体のpH
これらで、実際の洗い上がりは大きく変わります。成分表に名前があるかどうかだけでは、その製品が強いか穏やかかは決まりません。
シリコン・ノンシリコン問題
ここも情報が錯綜している分野です。順番に整理します。
正確には「シリコーン」
まず用語から。日本語で「シリコン」と言われているものは、化粧品ではシリコーンを指しています。
シリコン(silicon):ケイ素という元素の名前。半導体などに使われるもの
シリコーン(silicone):ケイ素を含む合成の高分子。化粧品に使われるのはこちら
日常会話では区別せずに使われますが、別のものです。
成分表での名前
ジメチコン
アモジメチコン
シクロペンタシロキサン
ジメチコノール
など、「〜コン」「〜シロキサン」「〜メチコン」といった語尾が目印になります。
何をしているのか
シリコーンの主な働きは、髪の表面をなめらかにして、摩擦を減らすことです。
これによって、次のような変化が起きます。
濡れているときの指通りが良くなる
乾かすときにブラシが通りやすくなる
つやが出る
髪同士がこすれるときの負担が減る
「コーティングする」とはどういう意味か
「髪をコーティングする」という表現は、髪の表面に薄い膜のような層ができる状態を指しています。ただし、この言い方が「髪を密閉している」というイメージを生んでいるのが問題です。
実際には、表面の摩擦を減らすためのなめらかな層であって、髪を袋に入れて密封しているわけではありません。
「毛穴に詰まる」「髪が呼吸できない」について
この二つは、よく見かける説明ですが、正確ではありません。
「髪が呼吸できない」
頭皮から外に出ている毛幹は、生きた細胞として呼吸している組織ではありません。そのため「シリコーンで髪が呼吸できなくなる」という説明は、毛髪科学の説明として適切ではありません。
「毛穴に詰まる」
シリコーンを含むことだけから「毛穴が詰まる」と一律に断定できる根拠はありません。シャンプーや洗い流すトリートメントは、製品ごとの使用方法どおりに使い、十分にすすぐことが基本です。
頭皮へ使用するよう設計されていないトリートメントを大量に塗る、すすぎが不十分、といった使い方では、シリコーンの有無にかかわらず残留感や刺激につながることがあります。
ノンシリコンのメリットとデメリット
メリット
仕上がりが軽くなりやすい
細い髪、ぺたんとしやすい髪では、根元の立ち上がりが出しやすいことがある
シリコーン特有の仕上がりを避けたい人に選択肢になる
デメリット
摩擦を減らす成分がないと、洗っているときや乾かすときの指通りが悪くなることがある
傷んだ髪では、からまりが増え、それをほどく過程で摩擦ダメージが増える可能性がある
現場でよく見るのが、ノンシリコンにこだわった結果、髪がからまり、それを無理にとかして傷めているというケースです。目的と手段が逆になっています。
なお、ノンシリコンの製品でも、シリコーン以外の成分でなめらかさを出しているものは多くあります。「ノンシリコン=何も入っていない」ではありません。
シリコーン入りのメリットとデメリット
メリット
摩擦が減り、指通りが良くなる
製品によっては、摩擦や熱処理時の扱いやすさを考えてシリコーンが配合される
傷んだ髪では、扱いやすさの改善が大きい
デメリット
仕上がりが重く感じることがある
髪が細い人ではボリュームが出にくいことがある
ダメージ毛ではどちらが向くのか
傷んだ髪、特にブリーチをしている髪では、摩擦を減らすことの優先度が非常に高くなります。
ブリーチなどの化学処理を受けた毛髪は、表面の脂質やタンパク質構造が変化し、濡れた状態で絡まりや摩擦の影響を受けやすくなります。
そのため、ブリーチ毛では「ノンシリコンかどうか」だけで選ぶより、実際に濡れた髪の櫛通りや摩擦を減らせる処方かを見るほうが実用的です。
「シリコーンは蓄積する」という話
種類によっては、髪に残りやすいものがあります。特に、髪への吸着性が高いタイプのシリコーンを、洗浄力の穏やかなシャンプーで洗い続けると、重さやべたつきとして感じられることがあります。
シリコーンの種類や処方によって毛髪への付着性は異なり、使用を重ねて重さやべたつきを感じることがあります。一方、研究では後の洗浄で以前に付着したシリコーンが除去される処方も示されています。
「シリコーンは必ず蓄積する」「一度付くと落ちない」と一律には言えません。重さが気になるなら、使用量・アウトバス製品・洗浄方法を一つずつ見直してください。
洗浄力が強すぎると何が起きるか
洗浄力が自分に対して強すぎる場合、次のようなことが起きます。
洗った直後にきしむ
濡れた髪がきしむのは、髪の表面がなめらかさを失っている状態です。
髪の表面には、もともと油になじみやすい性質を持つ層があります。これが摩擦を減らし、水をはじく性質のもとになっています。洗浄によってこの表面の状態が変わったり、ブリーチなどで元々の層が失われていたりすると、濡れたときに髪同士が引っかかりやすくなります。
きしみは、すぐに深刻なダメージを意味するわけではありません。ただし、きしんだ状態で無理にとかせば、そこで摩擦ダメージが起きます。きしみを感じたら、力を入れてほどこうとせず、トリートメントで滑りを戻してから扱ってください。
頭皮がつっぱる、かゆくなる
必要な皮脂まで落ちると、頭皮の表面から水分が逃げやすい状態になります。つっぱり感、かゆみ、細かいフケとして現れることがあります。
「皮脂を取りすぎると、逆に皮脂が増える」は本当か
よく言われる話ですが、慎重に扱ったほうがよい説明です。
皮脂の分泌量は、主にホルモンの影響を受けています。「洗いすぎたことを体が察知して、皮脂を大量に出すようになる」という説明を裏づける確かな根拠は、はっきりしていません。
一方で、次のことは実際に起きます。
落としすぎた直後は乾燥し、つっぱる
乾燥するとかゆみが出て、触る回数が増える
頭皮の状態が乱れて、べたつきやフケを感じやすくなる
「分泌量が増えた」のか「感じ方と状態が変わった」のかは、区別が必要です。少なくとも、「洗わないほうが皮脂は減る」という結論に飛びつくのはおすすめしません。
毛先が乾燥する
シャンプーの泡は毛先も通ります。頭皮に合わせて強い洗浄力を選ぶと、毛先には過剰になることがあります。
これは「シャンプーを変える」より、毛先のケアを足すほうが解決しやすい問題です。理由は次の章で説明します。
カラーの色落ちが早くなる
染めた髪の色は、洗うたびに少しずつ流れ出ていきます。
シャンプー洗浄によって染料の流出が進むことがある
界面活性剤の種類、pH、毛髪の状態などで退色挙動は変わる
洗う回数が増えれば、水・洗浄にさらされる機会も増える
ダメージ状態によって色持ちは変わる
カラーの色持ちはシャンプーだけで決まりません。洗浄処方、洗髪回数、毛髪のダメージ状態、染料の種類など複数の条件が関わります。「温度だけ下げれば色持ちが大きく変わる」といった単純な話にはしないことが大切です。
パーマ・縮毛矯正をした髪との関係
薬剤を使った施術の後の髪は、内部の状態が変化しています。強い洗浄で表面の油分が取れると、扱いにくさが出やすくなります。
施術直後にどのくらい空けて洗うべきかは、薬剤や施術内容によって異なります。担当した美容師の指示を優先してください。一般論として何時間、と決められるものではありません。
洗浄力が弱すぎると何が起きるか
「穏やかなシャンプーを選んでおけば安心」ではありません。落としきれないことにも問題があります。
起きること
皮脂が残る
根元がべたつく、夕方に髪がぺたんとする、といった形で現れます。
スタイリング剤が残る
ワックスやバームは油分が多く、穏やかな洗浄成分では落ちきらないことがあります。
においが残る
皮脂が残って酸化すると、においのもとになります。「毎日洗っているのににおう」場合、洗えていない可能性があります。
泡立たない
油分が多く残っている状態では、泡が立ちにくくなります。詳しくは次の章で説明します。
すすいでも重い
洗い流したはずなのに髪が重く、指通りが悪い状態です。
頭皮の状態が乱れる
汚れが残り続けると、かゆみやフケにつながることがあります。
弱い洗浄剤が常に正解ではない
「肌に優しい」と「自分に合っている」は別です。
必要な洗浄が行われていない状態は、頭皮にとって快適ではありません。穏やかな洗浄成分を選ぶなら、洗い方(泡立て、二度洗い、すすぎ)でカバーする前提が要ります。
泡立ちと洗浄力の関係
先に答えると、泡立ちの良さは、洗浄力の強さと同じではありません。
泡の役割
泡そのものが汚れを分解しているわけではありません。汚れを取り込んでいるのは、先に説明したミセルの働きです。
では泡は何のためにあるのか。主に次の役割があります。
髪と髪の間のクッションになる
泡がないまま髪をこすり合わせると、直接の摩擦が起きます。泡があると、その間に入って摩擦を減らします。これは実用的に重要です。
シャンプーを全体に行き渡らせる
泡の状態のほうが、少量でも頭全体に広がります。
洗っている場所を目で確認できる
洗い残しに気づきやすくなります。
泡立たないときは洗えていないのか
泡立ちが悪いのには、いくつかの原因があります。
髪や頭皮に油分が多い:油は泡を消す方向に働きます。皮脂やスタイリング剤が多いと泡立ちにくくなります
予洗いが足りない:髪が十分に濡れていないと、シャンプーが広がりません
シャンプーの量が少なすぎる:髪の長さと量に対して足りていない場合です
前日のアウトバス製品が残っている
泡立たないこと自体が「洗えていない」を意味するわけではありませんが、「落とすものが多い」というサインではあります。油分やスタイリング剤が多い日で一度目の泡立ちが悪い場合は、いったん十分にすすぎ、必要に応じてもう一度洗うという方法があります。毎回二度洗いが必要という意味ではありません。
泡が多ければ良い、でもない
泡の量は、配合されている泡立ち補助成分によっても変わります。泡が豊かに見える製品が、必ずしも洗浄力が高いわけではありません。
泡の多さだけでは洗浄力を判定できないと考えてください。泡は製品を広げやすくしたり、毛髪同士の直接摩擦を減らしたりするうえで役立ちます。
予洗いには、どこまで意味があるのか
お湯だけで落ちるもの
ぬるま湯で流すだけでも、次のようなものはある程度落ちます。
汗の乾いた残り
表面に乗っているだけのほこり
水に溶ける汚れ
一方で、皮脂やスタイリング剤といった油分は、水だけでは落ちにくいです。だからシャンプーを使います。
「予洗いで汚れの◯割が落ちる」という数字について
この手の数字は、非常によく見かけます。ただし、出どころの明確な根拠は確認しにくいのが実情です。
そもそも「汚れ」の中身は人によって違います。スタイリング剤をたっぷり使った日と、何もつけていない日とで、落ちる割合が同じになるはずがありません。
具体的な数字は、あまり気にしなくて構いません。
予洗いの本当の意味
数字よりも、実際に効いているのは次の点です。
髪と頭皮を十分に濡らすことで、シャンプーが全体に広がりやすくなる
表面の汚れを先に流しておくことで、シャンプーの泡立ちが良くなる
結果として、少ないシャンプー量で洗える
洗う準備を整える工程、と考えると分かりやすいです。
何分やればよいのか
決まった時間はありません。目安になるのは、髪の内側まで水が届いて、全体がしっかり濡れている状態です。
髪が長い人、量が多い人、髪が水をはじきやすい人は、その分だけ時間がかかります。表面だけ濡れて中が乾いている状態では足りません。
お湯の温度
熱すぎるお湯は避けてください。
熱いお湯は、油分を落とす力が強くなる方向に働きます。頭皮が乾燥しやすい人や、カラーの色持ちを気にする人にとっては、不利になります。また、熱いシャワーは皮膚にとって刺激になりやすいです。
冷水にすることで洗浄が良くなるという根拠は乏しく、無理に冷たくする必要はありません。
「熱いと感じない、ぬるめの温度」という目安で十分です。特定の温度を数字で覚える必要はありません。季節や体感によっても快適な温度は変わります。
冷水で洗うメリットはあるか
「冷水で洗うとキューティクルが締まる」といった説明を見かけますが、冷水で洗うことを積極的にすすめられるだけの根拠は、はっきりしていません。
現実的には、冷水では皮脂やスタイリング剤が落ちにくくなります。すすぎ残しのほうが問題になりやすいので、無理に冷水にする必要はありません。
正しい洗い方
ここは、シャンプーの種類より結果を左右することがあります。
ブラッシングは必要か
必須ではありませんが、髪が長い人、からまりやすい人には有効です。
からまりをほどいてから濡らすことで、洗っているときの摩擦が減る
表面のほこりが落ちる
ただし、からまったまま強く引っ張ってとかすのは逆効果です。毛先から少しずつほどいてください。
予洗い
前の章のとおりです。全体をしっかり濡らします。
シャンプーを直接頭皮につけてよいか
製品表示に特別な指示がなければ、まず手のひらへ適量を取り、濡れた頭皮と髪へ分散させると使いやすくなります。「原液が頭皮に触れると危険」という意味ではありません。
泡立て方や使用量は製品によって異なるため、パッケージの使用方法を優先してください。
洗う場所と手の使い方
爪を立てないでください。
頭皮に細かい傷ができると、そこからかゆみや炎症につながることがあります。「爪でガシガシ洗うと気持ちいい」と感じる人は多いのですが、気持ちよさと頭皮への良さは別です。
指の腹を使ってください。指の腹とは、指先の内側、指紋がある面のことです。爪の生えている側ではなく、その反対側の柔らかい部分です。
指先ではなく指の腹を使い、頭皮を傷つけない程度の力で洗います。強くこする必要はありません。
強くマッサージすべきか
強くする必要はありません。
心地よい程度の力で十分です。力を入れすぎると、頭皮への負担になります。「気持ちいい」を超えて「痛い」と感じるなら、強すぎます。
毛先はどう洗うか
前に書いたとおり、頭皮を洗った泡が流れて通れば足りることが多いです。
毛先を手のひらで挟んでこすり合わせる洗い方は、摩擦が大きく、傷んだ髪では特に避けたほうがよいです。泡を毛先に沿わせて、握るように優しく通してください。
ただし、毛先にオイルやバームをしっかりつけている日は、そこに泡をなじませる時間が必要です。
すすぎ
多くの人が思っているより、すすぎは重要です。
すすぎ残しは刺激や不快感につながることがあるため、泡やぬるつきが残らないよう十分にすすぎます。特定の秒数を決める必要はありません。
残りやすい場所
生え際:顔まわりは、流れ落ちる位置から外れやすいです
耳の後ろ:シャワーが直接当たりにくく、洗い忘れも残り忘れも起きやすい場所です
襟足:下を向いて流していると、うなじの部分が流れきらないことがあります
頭頂部:髪が密集していて、内側まで水が届きにくいことがあります
耳の後ろと襟足は、意識して手を入れて流してください。
二度洗いは必要か
先に答えると、全員が毎日する必要はありません。
二度洗いが向く場面
ワックス、バーム、ヘアオイルなど、油分の多いスタイリング剤を使った日
スプレーをしっかり使った日
一度目の泡立ちが明らかに悪いとき
皮脂が多く、一度では頭皮のべたつきが取れないと感じるとき
汗をかき、皮脂やスタイリング剤も多く残っている日
一度目で表面の油分と汚れを落とし、二度目でしっかり洗う、という考え方です。一度目は泡立ちにくくても構いません。
一度で足りる人
スタイリング剤をほとんど使わない
皮脂の量が多くない
一度洗ってすすいだ後、頭皮がすっきりしている
すっきりしているなら、二度洗いする理由はありません。
二度洗いで乾燥することはあるか
二度洗いは洗浄工程が増えるため、頭皮が乾燥しやすい人ではつっぱりや刺激感が出ることがあります。必要のない日に習慣化しないことが大切です。
つっぱりやかゆみが出るようなら、回数を減らすか、洗浄力の穏やかなものに変えるか、どちらかで調整してください。
「美容室で二回洗うから家でも二回」は正しいのか
そのまま当てはめる必要はありません。
美容室で二回洗うかどうかは、来店時の皮脂・スタイリング剤の量や施術内容、使用製品などで変わります。サロンで二度洗いしたからといって、家庭でも毎日二度洗いが必要という根拠にはなりません。
サロンでの手順は、その日の施術に合わせたものです。日常のホームケアと同じ基準ではありません。
洗浄剤の量を増やすより、洗い方を見直す
一度で落ちないとき、シャンプーの量を大量に増やす人がいますが、量を増やしても泡立ちにくい状態は変わらないことがあります。
予洗いを長めにする
一度すすいでから、二度目を泡立てる
このほうが、少ない量で済みます。
毎日シャンプーしてよいのか
「全員が毎日」「全員が数日に1回」といった一律の答えはありません。AADも、髪がどの程度汚れる・脂っぽくなるか、髪質によって洗髪頻度を決めるよう案内しています。直毛で脂性頭皮なら毎日が合う人もいれば、乾燥した巻き毛・太い髪では頻度を下げる人もいます。
毎日洗ったほうがよい傾向がある場合
皮脂の分泌が多く、一日でべたつく
汗をかく環境にいる
毎日スタイリング剤を使う
においが気になる
皮脂やスタイリング剤が残った状態を続けることが、頭皮にとって良いわけではありません。「洗わないほうが頭皮に優しい」という考え方は、状況によっては逆になります。
頻度を落とす選択肢がある場合
頭皮が乾燥しやすく、洗うとつっぱる
スタイリング剤をほとんど使わない
皮脂の分泌が少ない
髪が非常に乾燥しやすく、洗髪後のきしみが強い
ただし、頻度を落とせば必ず頭皮に良いわけではありません。皮脂・汗・スタイリング剤の量も含めて調整します。
肌質による傾向
脂性の頭皮
毎日洗うほうが快適な場合が多いです。ただし、洗いすぎて乾燥している可能性も一度は考えてください。
乾燥しやすい頭皮
洗浄力を落とす、洗う時間を短くする、二度洗いをやめる、といった調整が先です。頻度を落とすのは、その後で考える手順になります。
高齢の方の場合
年齢とともに皮脂の分泌量は変わります。皮脂が減っている場合、毎日しっかり洗うと乾燥やかゆみにつながることがあります。頻度と洗浄力の両方を、状態に合わせて調整してください。
ただし、これも個人差が大きいので、「高齢だから頻度を落とす」と機械的に決めるものではありません。
季節で変えてよいか
季節によって汗、皮脂、乾燥感、スタイリング剤の使い方が変わるなら、洗髪頻度や製品を調整して構いません。
一年中同じ製品を同じ頻度で使わなければならない理由はありません。
頭皮はベタつくのに、毛先は乾燥する場合
これは非常に多いパターンです。そして、対処の原則がはっきりしています。
原則:シャンプーは頭皮基準、トリートメントは毛先基準
シャンプーは頭皮の状態に合わせて選ぶ。トリートメントは毛先の状態に合わせて選ぶ。
なぜこうなるかというと、シャンプーが主に触れるのは頭皮であり、トリートメントが主に触れるのは中間から毛先だからです。それぞれ、担当している場所に合わせるのが合理的です。
よくある間違い
毛先の乾燥を気にして、しっとり系・洗浄力の穏やかなシャンプーを選ぶ。すると頭皮のべたつきが取れず、根元がぺたんとして、においも気になる。
守りたいのは毛先なのに、頭皮側の選択で対応しようとしている状態です。この場合、シャンプーは頭皮に合ったものに戻し、毛先はトリートメントとアウトバスで守る、という切り分けが有効です。
トリートメントを根元につける必要はあるか
基本的にはありません。
頭皮用として設計されている製品は別ですが、通常のトリートメントは中間から毛先に使うことを想定しています。根元につけると、ぺたんとしたり、べたついたり、すすぎ残しにつながったりします。
つける位置は髪の長さ・乾燥部位・製品指示で変わります。一般には、乾燥や絡まりが気になる中間〜毛先を中心に使います。
毛先だけ重いケアを使う方法
トリートメントを、毛先に多め、中間に少なめでつける
週に一度の集中ケアは、毛先だけに使う
コンディショニングは、必要な場所へ必要な量を使う。これが根元の軽さと毛先の扱いやすさを両立させる考え方です。
カラー毛・ブリーチ毛の場合
色が抜ける仕組み
染めた髪の色は、洗うたびに少しずつ流れ出ます。
洗髪によって染料が少しずつ流出することがある
界面活性剤の種類やpHで退色挙動は変わる
毛髪のダメージ状態でも色持ちは変わる
洗髪回数が増えれば、水や洗浄剤にさらされる回数も増える
色持ちは、シャンプーの銘柄だけでなく、染料・毛髪状態・洗浄条件など複数の要因で決まります。
色持ちのために現実的にできること
お湯の温度を上げすぎない
洗っている時間を長くしすぎない
洗う頻度を見直す
染めた直後は特に慎重に扱う(何時間空けるかは、担当美容師の指示に従ってください)
「カラー用シャンプーに変えれば必ず長持ちする」とは言えません。製品表示を確認しつつ、洗髪頻度や毛髪の扱いも含めて見直してください。
ブリーチ毛では、購入優先はシャンプーのままでも摩擦対策を強化する
ブリーチをした髪は、表面や内部構造が変化し、濡れた状態で絡まりや摩擦の影響を受けやすくなります。
ここでトリートメントの重要度は上がりますが、購入時にまずシャンプーを自分に合わせて選ぶ、という基本順序まで逆転させる必要はありません。
ブリーチ毛では、シャンプー選びに加えて次の摩擦対策を徹底します。
濡れた状態でこすらない、引っ張らない
洗った後、すぐに摩擦を減らすケアを入れる
タオルドライは、こすらず挟んで押さえる
とかすときは、毛先から少しずつ
ブリーチ毛では、洗浄剤名だけを追うより、濡れた状態での絡まりと摩擦を減らすことが非常に重要です。シャンプーとコンディショニングの両方を、毛髪状態に合わせて考えてください。
ただし、洗浄力を落としすぎない
一方で、ブリーチ毛だからと洗浄力を極端に落とすと、スタイリング剤や皮脂が落ちきらない問題が出ます。
穏やかなシャンプーでスタイリング剤が残る場合は、使用量を見直す、必要な日に二度洗いする、別の洗浄処方へ変えるなどの調整が考えられます。
カラーシャンプー・紫シャンプーについて
いわゆるカラーシャンプー(紫、シルバー、ピンクなど)は、洗浄機能に加えて色素を補うことを目的にした製品です。色素の種類や染まり方は製品ごとに異なるため、「表面だけに色を乗せる」と一律には言い切らず、製品説明を確認してください。
ブリーチした髪の黄みを抑える目的で使われることが多いです。
毎回使ってよいかについては、製品の指示に従ってください。髪が非常に傷んで色が入りやすい状態だと、使いすぎて色が乗りすぎることがあります。使用頻度、放置時間、通常のシャンプーとの併用については、製品ごとに指定が異なります。
市販品とサロン専売品の違い
美容室に関わる立場から書きますが、サロン品を無条件にすすめる意図はありません。
何が違うのか
販売経路が違う
サロン専売品は、美容室など特定の販売経路を中心に流通する製品です。対面で髪の状態を見ながら提案できることが、購入時の利点になる場合があります。
想定している対象が違う
サロン品には、特定の髪質や、特定の施術をした髪を対象に細かく設計されているものがあります。市販品にもサロン品にも、幅広い設計の製品があります。販売経路だけから処方の優劣を決めることはできません。
価格の内訳が違う
これは重要な点です。製品の価格には、中身の原料費だけでなく、次のようなものが含まれています。
容器・パッケージ
香料
広告宣伝費
流通コスト
ブランドとしての価値
価格が高い=中身の原料費が高い、ではありません。そして、原料費が高い=自分の髪に合う、でもありません。
市販品は悪いのか
そうではありません。
市販品の中にも、洗浄成分の組み合わせがしっかり設計された製品はあります。近年は選択肢が広がっており、「ドラッグストアで買えるものは全部同じ」という状況ではありません。
高いほど良いのか
合っているかどうかがすべてです。
自分の頭皮に対して洗浄力が強すぎる高価なシャンプーより、合っている手頃なシャンプーのほうが、結果は良くなります。
サロン品を買う意味がある人
ブリーチやハイトーンカラーをしていて、髪の状態が特殊
縮毛矯正やパーマを繰り返している
市販品をいろいろ試したが、しっくりこない
自分の髪の状態を見てもらったうえで選びたい
サロン品を選ぶ利点の一つは、髪と頭皮の状態を見てもらったうえで製品選びや使い方の説明を受けられることです。製品そのものが市販品より必ず優れている、という意味ではありません。
市販品で十分な人
特別な施術をしていない
頭皮のトラブルがない
今使っているもので、洗い上がりに不満がない
不満がないなら、変える必要はありません。
成分表はどこまで信用できるか
ここは、この記事でもっとも実用的な章かもしれません。
全成分表示のルール
化粧品には、配合されている成分をすべて表示する決まりがあります。ただし、表示のしかたにはルールがあります。
原則として、配合量の多い順に記載される
1%以下の成分と着色剤は、互いに順不同で記載できる
着香剤として使う香料は「香料」と表示できる
製品中で効果を発揮するより少ない量しか残らないキャリーオーバー成分など、一定条件で表示対象外になるものもある
これは厚生労働省の全成分表示ルールです。したがって、1%を超える範囲では順序がヒントになりますが、どこから1%以下なのかを消費者が成分表だけで特定することはできません。
成分表から分かること
上位にどのような洗浄成分が並んでいるかという傾向
シリコーンが入っているか
どんな種類の油分やコンディショニング成分が使われているか
これらは、傾向をつかむヒントになります。
成分表から分からないこと
それぞれの成分が、どのくらいの量入っているか
全体のpH
成分同士がどう作用し合うか
実際の洗い上がりの感触
泡立ちの質
同じ成分名が並んでいても、配合量と組み合わせが違えば、まったく違う製品になります。
「この成分が入っているから悪い」が成立しない理由
ラウレス硫酸Naを例にします。
主洗浄成分として多く配合されている製品
補助的に少量だけ配合されている製品
ベタイン系と組み合わせて、感触を整えている製品
これらはすべて成分表に「ラウレス硫酸Na」と書かれますが、洗い上がりはまったく違います。
成分名の有無だけで判断すると、この違いが見えません。
最初にどこを見ればよいか
現実的な読み方を三つ挙げます。
1. 上位に並ぶ洗浄成分を見る
シャンプーでは水の後に複数の界面活性剤が並ぶ製品が多く、処方の傾向を見るヒントになります。ただし、「水の次の1成分=その製品の性格」と決めないでください。
2. 「上位5成分だから重要」と固定しない
全成分表示には1%以下で順不同になるルールがありますが、どの位置から1%以下なのかは分かりません。「5番目まで」といった本数ルールには根拠がありません。
3. 自分が過去に合わなかった成分があれば、それを確認する
過去にかぶれた、しみた、といった経験がある成分は、確認する価値があります。
成分オタクになる必要はあるのか
ありません。
成分表を読めるようになることには意味がありますが、それは「読めば正解が分かる」からではありません。広告のうたい文句を鵜呑みにせず、自分で確認する材料になるからです。
現場でよく見るのは、特定の一成分だけを覚えて、それが入っているというだけで製品を怖がっているというケースです。これは、判断材料を増やしたつもりで、実際には判断の幅を狭めています。
最終的にいちばん確実な判断材料は、実際に使ってみて、自分の頭皮と髪がどうなったかです。成分表は、その手前のヒントにすぎません。
頭皮に症状があるとき
ここは、シャンプー選びの話で片付けてはいけない領域です。
シャンプーで対応できる範囲
洗った後の軽いつっぱりや、製品を変えた直後の違和感などは、洗浄方法や製品が関係する場合があります。ただし、症状だけから「シャンプーが原因」と決めつけることはできません。
医療機関を検討したほうがよい状態
次のような場合、シャンプーを変えて様子を見るのではなく、皮膚科の受診を検討してください。
フケが明らかに多い、あるいは大きなかたまりで出る
黄色っぽく脂っぽいフケが続く
かゆみが強く、掻かずにいられない
頭皮に赤みが広がっている
湿疹ができている
じゅくじゅくしている、汁が出ている
痛みがある
強いにおいが続く
抜け毛が明らかに増えた
円形に毛が抜けている部分がある
これらは、頭皮の皮膚疾患である可能性があります。頭皮に起きる皮膚の病気には、いくつかの種類があり、それぞれ対処が異なります。シャンプーを変えることで解決する問題とは、性質が違います。
薬用シャンプーについて
薬用と表示されたシャンプーは、化粧品ではなく医薬部外品にあたるものです。特定の目的に向けた成分が配合されています。
フケやかゆみ向けの薬用シャンプーには適応に沿って使える製品もありますが、強い赤み・痛み・じゅくじゅく・脱毛などがある場合や、市販品で改善しない場合は皮膚科へ相談してください。
美容室でできること・できないこと
美容室は、髪と頭皮の状態を見て、洗い方や製品の提案をすることはできます。ただし、病気の診断や治療はできません。
「この頭皮の赤みは何ですか」と聞かれても、答えられるのは「気になる状態なので、皮膚科で診てもらってください」というところまでです。これは知識の問題ではなく、役割の違いです。

自分に合うシャンプーの選び方
最後に、判断の手順をまとめます。
手順1:頭皮の状態を見る
洗髪後から次の洗髪までの頭皮がどう変化するかを見てください。時間を「翌日夕方」に固定する必要はありません。
洗った直後から強くつっぱる・乾燥する → 洗浄方法や製品が強すぎないか確認
すぐにべたつきや製品残りを感じる → 洗髪方法・スタイリング剤量・洗浄処方を確認
かゆみ・赤み・フケが続く → 洗浄力だけで決めず、皮膚疾患も含めて考える
特に問題がない → 成分名だけを理由に無理に変える必要はない
手順2:スタイリング剤の使用量を確認する
ここを見落とす人が多いです。
ワックス、バーム、オイルを毎日しっかり使う → 洗浄力は落としすぎない
ほとんど何もつけない → 穏やかな洗浄力でも足りることが多い
製品ではなく、使用量で決まります。
手順3:毛先の状態を見る
ここはシャンプーではなく、トリートメント側で対応する部分です。
ブリーチ毛、ハイトーンカラー → 摩擦を減らすケアを優先
カラーのみ → 標準的なケアで足りることが多い
施術していない、健康な状態 → 軽めのケアで十分
手順4:髪の太さと量を考える
細い、ぺたんとしやすい → 重いトリートメントを根元に近づけない。軽い仕上がりのものを
太い、多い、広がる → しっとりした仕上がりのものが合いやすい
くせ毛 → まとまりを重視。ただし重すぎると、くせが伸びずに潰れることもある
手順5:頭皮の敏感さを確認する
しみる、かゆくなった経験がある → 洗浄力を落とし、洗う時間を短くする方向で調整
過去に合わなかった製品がある → その成分表を控えておくと、次に選ぶときの材料になる
状態別の目安
脂性の頭皮
汚れや脂っぽさが早く気になるなら、洗髪頻度を上げる選択肢があります。洗浄力は使用するスタイリング剤量も合わせて考えます。
乾燥しやすい頭皮
洗浄方法・製品・洗髪頻度をまとめて見直します。強いかゆみや赤みがあるなら、シャンプー選びだけで解決しようとしないでください。
普通の頭皮
標準的な洗浄力で足りることが多い。季節で微調整する。
細い髪
軽い仕上がりのものを。トリートメントは毛先中心に。
太い髪・量が多い髪
しっとり系が合いやすい。すすぎ残しに注意。
くせ毛
まとまり重視。ただし重すぎると潰れるので、様子を見ながら調整。
カラー毛
洗浄条件(回数・温度・時間)を優先的に見直す。
ブリーチ毛
購入時はまずシャンプーの洗浄が頭皮と髪に合うかを確認。そのうえでトリートメントを省かず、摩擦対策を強化する。
スタイリング剤を多く使う人
洗浄力を落としすぎない。必要な日は二度洗い。
頭皮が敏感な人
洗浄力を落とし、洗う時間を短く。新しい製品は一度に一つだけ変える。
変えるときのコツ
一度に一つだけ変えてください。
シャンプーとトリートメントを同時に変えると、良くなっても悪くなっても、どちらが原因か分かりません。
そして、新しい製品へ変えるときは一度に複数を変更しないほうが、合う・合わないの原因を追いやすくなります。「何日使えば判断できる」という一律の期間は設けません。刺激やかぶれが出た場合は、期間を待たず使用を中止してください。
まとめ
長くなったので、判断に必要な部分だけ振り返ります。
購入するとき、どちらを優先するか
シャンプーとトリートメントは両方使う
そのうえで、重点的に選ぶのはシャンプー
シャンプーは頭皮と髪に毎回触れ、洗浄の過不足を決める
トリートメントは重要だが、頭皮の洗いすぎ・洗い残しを修正することはできない
ブリーチ毛でもトリートメントの重要度は上がるが、購入優先順位まで逆転させる必要はない
「シャンプー優先」は「トリートメント不要」「高いシャンプーを買え」という意味ではない
洗浄成分について
シャンプーは複数の洗浄成分の組み合わせでできている
「アミノ酸系」は法的な分類ではなく、穏やかな傾向はあるが一律ではない
「高級アルコール」の高級は、値段ではなく分子の大きさの話
ラウレス硫酸Naなどを一律に避ける必要はない
必要な洗浄力は、頭皮の状態とスタイリング剤の量で決まる
シリコーンについて
髪の表面の摩擦を減らすのが主な役割
「髪が呼吸できない」「毛穴が詰まる」という説明は正確ではない
ノンシリコンが常に良いわけではなく、傷んだ髪では摩擦が増えることがある
洗い方について
泡立ちは洗浄力の指標ではなく、摩擦を減らす役割がある
予洗いは「準備」の工程。数字を覚える必要はない
爪を立てず、指の腹で頭皮を動かすように洗う
すすぎは、思っているより重要。耳の後ろと襟足に残りやすい
二度洗いは、必要な日にだけ
成分表について
上位に並ぶ成分は多く入っていると読めるが、下位の順番は配合量順とは限らない
成分表はヒントにはなるが、処方全体は成分表だけでは分からない
一つの成分名だけで製品を評価することはできない
症状があるとき
フケ、赤み、湿疹、じゅくじゅく、強いかゆみ、抜け毛の増加は、皮膚科の領域
シャンプーを変えて様子を見る前に、診てもらったほうが確実
最後に、この記事の問いへもう一度はっきり答えます。
シャンプーとトリートメントは両方使います。
でも、購入時にどちらを重点的に選ぶかなら、シャンプーを先に考えます。
理由は、シャンプーが毎回の洗浄で、頭皮と髪から何をどこまで落とすかを決めるからです。ここが自分に合っていなければ、洗いすぎも洗い残しも、その後の家庭用トリートメントでは修正できません。
一方、トリートメントは、洗ったあとの毛髪の摩擦を減らし、絡まりや扱いにくさを整えるために必要です。ブリーチ毛ではその重要度はさらに上がります。
それでも順番は同じです。
まずシャンプーを自分に合わせて選ぶ。
次に、毛先のダメージに合わせてトリートメントを選ぶ。
高いものを買う順番ではなく、真剣に選ぶ順番だと考えてください。
これが「トリートメントよりシャンプー選びを先に考える」というこの記事の答えです。
参考資料
厚生労働省「化粧品の全成分表示の表示方法等について」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta7768&dataType=1&pageNo=1
日本化粧品工業会「肌の汚れを落とす―洗浄料―」
https://www.jcia.org/user/public/knowledge/explain/cleanser
日本化粧品工業会「水と油が仲良く同居―乳化と可溶化―」
https://www.jcia.org/user/public/knowledge/explain/surfactant
日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」
https://www.jcia.org/user/business/advertising
Cornwell PA. A review of shampoo surfactant technology: consumer benefits, raw materials and recent developments. Int J Cosmet Sci. 2018.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29095493/
Rushton H, et al. 2-in-1 shampoo technology: state-of-the-art shampoo and conditioner in one. Skin Pharmacol. 1994.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8003328/
La Torre C, Bhushan B. Nanotribological effects of silicone type, silicone deposition level, and surfactant type on human hair. J Cosmet Sci. 2006.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16676122/
Zhou Y, et al. Protection of oxidative hair color fading from shampoo washing by hydrophobically modified cationic polymers. J Cosmet Sci. 2009.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19450422/
American Academy of Dermatology「Tips for healthy hair」
https://www.aad.org/public/everyday-care/hair-scalp-care/hair/healthy-hair-tips
American Academy of Dermatology「How to treat dandruff」
https://www.aad.org/public/everyday-care/hair-scalp-care/scalp/treat-dandruff
執筆:Dolce(美容師歴20年以上)
現場で3万人以上の髪と頭皮を見てきた経験から、「年齢を重ねても美しい髪でいられる方法」を発信しています。
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