ヘアオイルとヘアミルクは、どちらも洗い流さないトリートメントとして並んでいます。パッケージには「乾燥した毛先に」「まとまる髪へ」と似た言葉が書かれているため、違いが分かりにくいのも無理はありません。
さらにSNSでは「ミルクの後にオイルを重ねる」と紹介されることもあります。両方そろえた方がよいのか、オイルでベタついた経験があるならミルクに変えるべきなのか。選択肢が増えるほど、かえって迷いやすくなります。
先に結論を言うと、どちらが優れているという話ではありません。オイルとミルクでは得意な仕上がりに傾向がありますが、名前だけで中身や働きが決まるわけでもありません。自分の髪質だけでなく、「軽くしたい」「表面をまとめたい」など、欲しい仕上がりから選ぶと判断しやすくなります。
オイルとミルク、何が違う?

ヘアオイルは、油性成分を中心にした製品が多く、髪の表面へ滑りやツヤを与え、毛先をまとめる目的で使われます。髪同士の摩擦を減らし、手触りを整えるのが得意な製品もあります。
ヘアミルクは、水と油性成分を混ぜた乳液状の製品が多く、オイルより軽く、やわらかな仕上がりを狙ったものがよく見られます。乾燥して硬く感じる髪や、絡まりやすい髪を扱いやすくしたいときの候補になります。
ここで覚えておきたいのは、「オイル」「ミルク」が厳密に統一された性能表示ではないことです。さらっとしたオイルもあれば、重めのミルクもあります。配合される油性成分、シリコーン、保湿成分、皮膜を作る成分などによって、伸び方や重さ、仕上がりは変わります。
オイルだから髪へ水分を補給する、ミルクだから内部を修復する、とも言い切れません。製品によって毛髪表面を整えたり、成分の一部が毛髪へ浸透したりすることはありますが、一度傷んだ部分を新しく生えた健康な髪と同じ状態へ戻すものではありません。広告の「補修」は、手触りや扱いやすさを一時的に整える意味で使われることも多いため、具体的な機能は商品表示で確認する必要があります。
髪の状態だけでなく、欲しい仕上がりから選ぶ
同じ人の髪でも、季節や湿度、ヘアスタイルによって必要な仕上がりは変わります。ふんわり軽く、やわらかく整えたい日にはミルクが候補になります。表面のパサつきを抑え、ツヤやまとまりを出したい日にはオイルが使いやすいことがあります。
ここでの「オイル向き」「ミルク向き」は絶対的な分類ではありません。軽いオイルと重いミルクを比べれば印象が逆転することもあります。商品名よりも、パッケージにある「軽い仕上がり」「しっとり」「細い髪向け」などの表示と、実際につけた後の重さを見て判断してください。
髪質と施術履歴は選ぶヒント

細毛や猫っ毛は、製品の量が少し多いだけでも、髪がぺたんと見えやすい傾向があります。まず軽い使用感のミルクやオイルを少量から試し、根元を避けて毛先へなじませます。「細毛だから必ずミルク」と決めるのではなく、少量で伸ばせるか、乾いた後に重くならないかを見る方が確実です。
太く硬い髪や、量が多く広がりやすい髪では、軽い製品だけではまとまりが足りないことがあります。表面の広がりを抑えたいならオイル、硬さをやわらげて扱いやすくしたいならミルクというように、目的から選びます。それでも足りないときに、初めて少量の併用を検討します。
カラー、ブリーチ、縮毛矯正などを繰り返した髪は、毛髪表面や内部の構造が変化し、乾燥や絡まり、切れやすさが目立つことがあります。施術履歴があるから両方必要なのではありません。軽いミルクだけで扱いやすくなる髪もあれば、毛先へオイルを少量足した方がまとまる髪もあります。施術名より、今の手触りと仕上がりを基準にしてください。
片方で十分?両方使う?
最初から2種類を重ねる必要はありません。まず片方を少量使い、乾かした後の状態を確認します。毛先がまとまり、重さも気にならなければ、それで十分です。
ミルクだけでは表面のパサつきが残る、オイルだけでは硬さや絡まりが気になる。このように不足している役割がはっきりしたときは、もう一方を少量追加する方法があります。
併用するなら、ミルクを先に、オイルを後に使う方法がよく紹介されます。水分を含むミルクをなじませ、オイルで表面を整えるという考え方です。しかし、すべての製品に共通する絶対的な順番ではありません。使用順が指定されている製品は、その表示を優先してください。2種類を重ねて乾きにくい、手触りが重いと感じたら、順番よりも使用量や併用そのものを見直します。
いつ、どこへ、どのくらい使う?

洗い流さないトリートメントの多くは、タオルドライ後の髪へ使うよう案内されています。手のひらへ少量を取り、両手へ薄く広げてから、中間から毛先へなじませます。頭皮用と表示されていない製品は、頭皮や根元を避けてください。頭皮へ付着すると、重さやべたつき、刺激につながることがあります。
使用量を「必ず何プッシュ」と一律に決めることはできません。髪の長さ、量、太さだけでなく、製品の濃さや伸びも違うからです。最初は表示された目安の範囲で少なめに使い、足りなければ毛先へ少し追加します。根元へ近づくほど量を減らすと、重く見えにくくなります。
乾いた髪へ使える製品なら、朝の仕上げや日中の手直しにも使えます。濡れた髪へ使う量をそのまま乾いた髪へつけると重くなりやすいため、さらに少量から試してください。
ドライヤー前とアイロン前は同じではない
ドライヤー前に使える製品でも、ストレートアイロンやカールアイロンの直前に使えるとは限りません。熱保護機能がある場合は、パッケージや公式サイトに「ヒートプロテクト」「アイロン前に使用」などの案内があるか確認します。
オイルをつけると、髪とプレートの間にある空気の隙間が油分で埋まり、何もつけていないときとは熱の伝わり方やプレートの滑り方が変わる可能性があります。塗布量が多ければ髪へ熱が伝わりやすくなることも考えられるため、アイロン直前にどのオイルでもたっぷり使ってよいわけではありません。
一方で、油性成分やシリコーン、皮膜形成成分などを組み合わせ、アイロンの熱から髪を守る目的で設計された製品もあります。油の種類や製品の処方によって熱の伝わり方は異なるため、「オイルをつけると必ず傷む」「オイルなら熱から守れる」のどちらも一括りにはできません。アイロンによる負担は、製品だけでなく温度、接触時間、使用頻度、髪の乾き具合にも左右されます。アイロン前に使う場合は対応表示のある製品を表示どおりの量で使用し、使い方が分からなければメーカーへ確認してください。
基本的に、アイロンは乾いた髪へ使用します。濡れた髪へ使えると明記された機器と製品を除き、髪が濡れた状態で高温のアイロンを当てないでください。
ベタつく、物足りないときの見直し方
オイルをつけた直後から重い場合は、量が多い、根元へ近い、製品が髪質に対して重いといった原因が考えられます。乾いたタオルやティッシュで強くこすらず、表面を軽く押さえて余分な製品を取ります。それでも気になる場合は、無理にごまかさず、必要に応じて洗い直してください。
ミルクだけでは物足りない場合も、単純に量を増やせばよいとは限りません。使用量が少ない、製品が軽すぎる、求めているのがやわらかさではなく表面のまとまり、といった可能性があります。少量のオイルを毛先へ追加するか、よりしっとりした製品へ変えるかを、一つずつ試します。
朝と夜で別の商品を必ず用意する必要もありません。夜はドライヤー前、朝は乾いた毛先の手直しというように、同じ製品を使用方法の範囲内で使い分けることもできます。
シリコーン・植物由来・価格をどう見る?
シリコーンは、髪の表面を滑らかにして、指通りやまとまりを整える目的で広く使われています。「毛穴を必ず詰まらせる」「髪の呼吸を妨げる」という理由だけで避ける必要はありません。そもそも毛髪は生きた組織のように呼吸するものではありません。ただし、どの成分でも製品の量や組み合わせによって重さや付着感が出ることはあるため、仕上がりを見て判断します。
植物由来のオイルも、天然という表示だけで安全性や相性が保証されるわけではありません。植物の種類、精製、配合量、香料を含む製品全体の処方によって使用感は変わります。
価格と補修力も単純には比例しません。価格には原料だけでなく、容器、香り、開発費、ブランドなども含まれます。高価かどうかより、用途が自分の悩みと合っているか、適量で望む仕上がりになるかを確認してください。
美容室で相談するときに伝えること
美容室では「オイルとミルクのどちらがいいですか」だけでなく、今困っている状態を伝えます。乾燥、広がり、絡まり、硬さのどれが気になるのか。軽く仕上げたいのか、ツヤとまとまりが欲しいのか。カラーやブリーチ、縮毛矯正の履歴、ドライヤーやアイロンの使用状況も判断材料になります。
現在使っている製品の写真を見せ、どのくらいの量をどこへつけているかを説明すると、製品が合わないのか、量や使い方の問題なのかを整理しやすくなります。
まとめ
ヘアオイルは表面の滑りやツヤ、まとまりが得意な製品が多く、ヘアミルクは軽さややわらかさ、扱いやすさを補う製品が多いという傾向があります。ただし、商品名だけで機能や重さは決まりません。
まず欲しい仕上がりに近い方を一つ、少量から試します。片方で足りるなら、無理に重ねる必要はありません。併用する場合やアイロン前に使う場合は、製品ごとの表示を優先してください。自分の髪で、重さ、まとまり、手触りを確認することが、選び方の基準になります。
HAIR記事は、美容師歴30年以上・施術経験3万人以上のDolceが、髪と頭皮の現場経験をもとに制作・監修しています。
執筆・監修:Dolce(美容師歴30年以上・施術経験3万人以上)
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