導入液(ブースター)は本当に必要?美容師が解説する正しい効果と使い方
導入液は、化粧水の前に使うことで「その後のスキンケアをなじみやすくする」とされるアイテムです。
肌を柔らかく整えることで、化粧水や美容液の浸透(=角質層まで)をサポートすると言われています。
化粧品登録の限界を知ろう
日本の薬機法では、化粧品は「皮膚や毛髪を清潔に、美化し、健やかに保つ」までが役割。
そのため「浸透」という表現は角質層までに限られています。
角質層の厚みは約0.02mm(20マイクロメートル)。
よく「食品用ラップ1枚分くらい」と例えられるほどの薄さです。
つまり、どんなに「浸透」と宣伝されていても、届くのはごく薄い角質層まで。
「肌の奥底に浸透する」という表現は誤解を与えるためNGとされています。
本当に“奥まで導入”できたら大問題
もし化粧品が角質層を超えて真皮や血管にまで届いたら、それはもう医薬品レベルの作用です。
- アレルギーや副作用のリスク
- 血流に乗って全身に影響する可能性
- 医薬品並みの厳格な承認が必要
つまり「肌の奥底まで導入できる」と本当に実現してしまったら、むしろ危険なんです。
だからこそ化粧品は安全に使える範囲=角質層までに限定されています。
よくある宣伝と実際の効果
- 「浸透力が10倍!」
数値で効果を保証する表現は科学的に立証が難しく、ガイドライン的にも注意が必要。実際は「角質層になじみやすくする」程度です。 - 「お肌の奥まで届く」
“奥”を真皮と誤認させる可能性があるためNG。正しくは「角質層まで」。 - 「ブースターは必須!」
健康な肌なら化粧水だけで十分になじみます。導入液は必須ではなく、スキンケアを楽しむ+αの存在です。
導入液の効果はある?
✅ 効果を感じやすい人
- 肌がゴワついて化粧水が入りにくいと感じるとき
- 乾燥でキメが乱れているとき
角質を柔らかく整え、化粧水が「なじみやすくなる」実感はあります。
❌ 劇的効果を期待しすぎるのはNG
化粧品は角質層までしか届きません。
肌質を根本から変えるような効果はありません。
「導入液を使えば肌が劇的に改善する」と思うと、かえってガッカリしてしまうかも。
導入液の本当の価値
- 肌を柔らかく整えるスイッチ的な役割
- 香りや使用感で「スキンケアの満足感」を高める
- 必須ではないけど、取り入れると心地よさが増すアイテム
美容師視点でのまとめ
シャンプーに補修成分を入れても内部まで補修できないのと同じで、
導入液も「角質層までしか作用できない」以上、過度な期待は禁物です。
導入液は“魔法の液”ではなく、スキンケアを楽しむためのサポートアイテム。
無くてもスキンケアは成立しますが、好みや使い心地で「取り入れたい」と思える人には価値があります。
そのくらいの温度感で付き合うのがちょうどいいバランスです。
記事のポイントまとめ
- 化粧品は角質層(約0.02mm=食品用ラップ1枚分程度)までしか浸透しない
- 「奥まで浸透」「劇的な変化」は誇張表現に注意
- 導入液は必須ではないが、使えば肌なじみや満足感がプラスされる
- 正しい期待値を知れば、導入液を「楽しく」取り入れられる
執筆:Dolce(美容師歴20年以上)
現場で3万人以上の髪と頭皮を見てきた経験から、「年齢を重ねても美しい髪でいられる方法」を発信しています。


コメント