「このシミ、レーザーなら1回で取れますか?」
カラーを塗りながら、シャンプー台で、あるいはお会計のときに。この質問は本当によくいただきます。
「SNSで“シミ取り放題”って見たんですけど、あれってどうなんですか?」
「ピコレーザーなら肝斑も全部消えるんですよね?」
「でも、レーザーして逆に濃くなった人もいるって聞いて……」
美容師なので、シミの診断や治療はできません。ただ、お客様からこうした相談を受けることはあります。だからこそ、美容の範囲を越えずに「何を先に確認したらいいか」を正直に整理したいと思います。
そして、いちばん正直な答えはこれです。
「答えは、シミの種類によって全然違います。」
先にお伝えしておくと、レーザー治療が選択肢になりやすい色素斑はあります。 ただし、効果の出方は病変の種類や治療条件によって変わります。
ただ、「茶色いもの=全部同じレーザーで取れる」という話ではないんです。ここを知っているかどうかで、行く前の準備も、行った後の受け止め方も、かなり変わります。
一緒に整理していきましょう。
先に結論|レーザーが効くシミはある。でも「シミ」は1種類ではありません
結論から言います。
効果が期待できる色素斑はあります。
特に、老人性色素斑(日光黒子/solar lentigo)では、色素を標的とするレーザーが治療選択肢のひとつになります。国民生活センターの美容医療解説でも、老人性色素斑はレーザー治療の適応になりやすい色素斑として説明されています。
2025年に発表された系統的レビュー(41の臨床試験・3,234人を検討)でも、レーザー治療は他の方法と比べて有効な選択肢として整理されています。
ただし、同じレビューはこうも書いています。大規模なランダム化試験がさらに必要である、と。つまり「効く」は「簡単・確実・ノーリスク」という意味ではありません。
起こりうることとしては、
– 炎症後色素沈着(治療後に一時的に、あるいはしばらく色が濃くなる)
– 色が抜けすぎる低色素斑
– 赤み、腫れ
– かさぶた
– 痛み
– まれに水疱・熱傷・瘢痕
などが報告されています。
そして何より大事なのが、そもそも「シミ」は、ひとつの病名ではないということ。ここから丁寧にいきます。
「シミ」は病名ではありません

日常会話でいう「シミ」は、皮膚の色が周囲より濃く見えるものをまとめて呼ぶ言葉で、ひとつの病名ではありません。
同じ茶色に見えても、中身は違います。
– メラニンがどの深さにあるのか(表皮なのか、真皮なのか)
– 色素細胞そのものが増えているのか、色素だけが溜まっているのか
– 炎症が関わっているのか
– 角化(皮膚の表面が厚くなること)の異常があるのか
– そもそもどうやってできたのか
これが違えば、当然、効く方法も違います。
たとえるなら、「茶色いシミがついた服だから、全部同じ洗剤で落ちるはず」と考えるようなものです。同じ茶色でも、コーヒーなのか、醤油なのか、絵の具なのか、錆なのかで、落とし方はまったく違いますよね。しかも服と違って、肌は失敗しても着替えられません。
だから、同じレーザーを全部に当てるという考え方はできないんです。
実際、国民生活センターの美容医療解説でも、中年以降の「シミのある皮膚」では種類の違うシミが混在していることが多く、内服・外用・紫外線対策などとの併用や、複数の機種が必要になることも少なくないと説明されています。
レーザーが得意な代表例|老人性色素斑
英語では solar lentigo(複数形 solar lentigines)。日本語では老人性色素斑、日光黒子。「年齢」という言葉が入っていますが、要は長年の紫外線の蓄積でできるものです。
DermNet(皮膚科の国際的な情報サイト)によれば、特徴はこんな感じです。
– 顔、手の甲、前腕、上半身、すねなど、日に当たりやすい場所に出やすい
– 境界がはっきりした、平らな(またはわずかに盛り上がった)斑
– 色は黄褐色〜濃い茶色〜黒っぽいものまであるが、ひとつの斑の中では色が均一なことが多い
– 数ミリから数センチまで、大きさはさまざま
– かゆみや痛みはない
– そばかすと違って、冬に薄くなったり消えたりせず、一年中ある(夏に少し濃くなることはある)
美容の世界で「シミ取りレーザー」と言うとき、多くはこのタイプを想定しています。治療の選択肢としては、Qスイッチレーザー、ピコ秒レーザー、IPL(光治療)、冷凍凝固療法、ケミカルピーリング、外用薬などが挙げられています。
ただし、ここでひとつ大事な注意を。
IPLはレーザーではありません。 これについては後で詳しく書きます。
そばかすは?
英語では ephelides / freckles。日本語では雀卵斑(じゃくらんはん)。
そばかすは若い頃から鼻〜頬を中心に目立つことが多く、遺伝的な素因が関わり、日光で濃く見えやすくなります。老人性色素斑と比べて、季節によって濃さが変わることがあります。
レーザーやIPLでよく反応するタイプとして知られています。
ただし。
体質的な要素があるものなので、治療後も紫外線などの影響で再び目立ってくる可能性があります。 「一度取れば一生このまま」という説明はできません。
また、中年以降になると、そばかすに他の種類のシミが混ざってくることも指摘されています。「若い頃からあるそばかす」と思っていたものの中に、後からできた別のものが混ざっている、というのは珍しくないんです。
肝斑は、同じように考えません
ここがいちばん誤解の多いところです。丁寧にいきます。
肝斑(かんぱん)は、頬や額などに左右対称性をもって現れることが多い、薄茶色〜褐色の色素斑です。成人女性に多くみられますが、見た目だけで自己診断はできません。
問題は、その成り立ち。
国民生活センターの解説では、肝斑はホルモンや慢性的な炎症など、何らかの刺激が原因となって色素細胞のメラニン産生が亢進した状態と説明されています。紫外線、可視光、ホルモンなど複数の要因が関係すると考えられている、慢性・再発性の色素異常です。摩擦などの刺激を避けるよう案内されることもあります。
つまり、老人性色素斑のように「色素が溜まっているから、強いエネルギーで壊す」という発想では扱えない、ということです。
では、肝斑にレーザーは使わないの?
そうとも限りません。ここが難しいところです。
米国皮膚科学会(AAD)の解説では、肝斑の治療について、すでに外用薬を使い、紫外線対策をしている患者さんに対して、レーザーや光治療を追加することで結果が良くなる場合がある、という研究があると紹介されています。
一方で国民生活センターの解説では、肝斑に対しては内服や外用の保存的治療を行い、レーザーを使う場合も、色素を破壊するのではなく色素細胞の活性を抑える作用の「保存的照射」が推奨されるとされています。
少なくとも共通しているのは、肝斑を「茶色いから強いスポット照射で取ればいい」と考えないことです。
レーザーや光治療が選択される場合はありますが、肝斑は外用治療や紫外線対策などを含め、医師が全体の治療計画を立てる領域です。
レーザートーニングについて
肝斑に対して、低出力のQスイッチNd:YAGレーザーを顔に繰り返し照射する方法が行われることがあります。いわゆる「レーザートーニング」です。
これについては、42本の文献をまとめた系統的レビュー(2022年)があります。そこで整理されているのは、こういう内容です。
– 従来の治療法と比べれば、おおむね有効で安全な治療のように見える
– ただし研究ごとのばらつきが大きく、まとめるのが難しい
– まだらな低色素斑(mottled hypopigmentation)が副作用として起こり、持続することが報告されている。これは照射エネルギーの累積が多い場合と関連する可能性がある
– 攻撃的に使えば、低出力であっても、不要な炎症を介して色素沈着を招くことがある。特に色の濃い肌で
– 治療3か月後にかなりの再発率を報告した研究もある
– 長期の追跡データが不足している
ですので、この記事では次のどれも書きません。
– ✕ 肝斑にレーザーは禁止
– ✕ 肝斑はレーザーで必ず悪化する
– ✕ ピコなら肝斑も安全
– ✕ トーニングを続ければ消える
正しい着地はここです。
肝斑は、「シミ取りスポット照射」と同じ感覚で自己判断しないでください。医師が病態を見て、治療計画を立てる領域です。
炎症後色素沈着(PIH)は?
ニキビ、湿疹、やけど、虫刺され、摩擦、そして美容施術。こうした炎症のあとに茶色く色が残ることがあります。これを炎症後色素沈着(post-inflammatory hyperpigmentation、略してPIH)と呼びます。
ここにレーザーを照射することもあります。ただし、大前提として知っておいてほしいことがあります。
レーザー治療は皮膚へエネルギーを与えるため、治療後に炎症反応や色素変化が起こることがあります。
そのためPIHにレーザーを用いる場合も、さらに色素沈着が目立つ可能性を含めて適応を検討する必要があります。国民生活センターの解説でも、炎症後色素沈着に対するレーザーの適応は症例ごとに検討する必要があるとされています。
「茶色いから、焼けば取れる」という話ではないんです。
そして、このPIHは日本人を含むアジア人のレーザー治療を考えるうえでも、重要な副作用のひとつです。
ここだけ覚えればOK

途中ですが、ここまでを1枚にまとめます。ここだけ持ち帰っていただければ十分です。
> ここだけ覚えればOK
>
> シミ取りレーザーが効くかどうかは、
>
> レーザーの名前より、何のシミなのかで決まります。
>
> 日光黒子(老人性色素斑)のように、レーザーが得意なものもあります。
>
> 一方で、肝斑や炎症後色素沈着のように、同じ当て方では考えないものもあります。
>
> だから、
>
> 「ピコだから効く」ではなく、「診断 → 適した治療」の順番です。
シミに見えて、別の病気のこともあります
ここは、この記事でいちばん大事なところかもしれません。
AADやDermNetは、いわゆる「年齢によるシミ」に見えるものの中に、脂漏性角化症や日光角化症、まれに悪性病変など、別の診断が必要なものが混ざることがあると注意しています。
見た目だけでは区別しにくい病変もあります。だから、診断が不確かなものや変化しているものは、レーザーで薄くする前に皮膚科で確認することが大切です。
こういう変化があるものは、先に皮膚科へ
– 最近急に出てきた
– 急に大きくなっている
– 形が変わってきている
– 色がまだら
– 境界が不規則
– 出血する
– かさぶたを何度も繰り返す
– 盛り上がってきた
– 痛みやかゆみがある
– 以前と明らかに違う
これは「当てはまったら悪性です」という自己診断チェックではありません。
伝えたいのは、変化があるなら、レーザーの契約より先に皮膚科という順番です。
脂漏性角化症について
もうひとつ、混同されやすいものを。
脂漏性角化症は、年齢とともに増える、少し盛り上がった茶色〜黒っぽい病変です。日本では「老人性いぼ」と呼ばれることがあります。
DermNetによれば、老人性色素斑が時間の経過とともに脂漏性角化症へ変化していくことがあるとされています。つまり「昔は平らだったのに、最近ザラついてきた」というのは、実際に起こることなんです。
平らな日光黒子とは、治療の考え方が違う場合があります。レーザーを使うこともありますが、削る治療、凍結療法など、別の方法が選ばれることもあります。
触ってザラつくかどうかは、美容師でも気づけることがあります。でも、それは「気づける」だけで、「診断できる」ではありません。 見た目だけで判断せず、医師に確認してください。
レーザーはどうやって色素を狙う?
ここは、あまり難しくしません。
色素レーザーでは、特定の波長の光を使い、メラニンなどの標的にエネルギーを集中させます。国民生活センターの解説によれば、1980年代に「異常な色素だけを破壊して、皮膚そのものの損傷を抑える」という理論が確立し、波長とパルス幅などの条件を満たせば選択的な色素の破壊ができるようになった、とされています。
Qスイッチレーザーやピコ秒レーザーでは、非常に短い時間でエネルギーを加えることで、色素を標的にします。短い時間で一気に加えるほど、周りに熱が逃げる前に標的に作用させやすい、というのがおおまかな考え方です。
ただし、ここで大事な注意を。
「メラニンだけを100%選んで、周りは完全に無傷」ということはありません。
周囲の皮膚にも炎症反応は起こり得ます。だからこそ、赤みが出たり、かさぶたができたり、そして炎症後色素沈着が起こったりするわけです。「選択的」というのは「その方向に強く偏っている」という意味であって、「他には一切影響しない」という意味ではないんですね。
この記事は物理の教科書ではないので、説明はこのくらいにしておきます。
Qスイッチレーザーとは?
ナノ秒(10億分の1秒)単位の非常に短いパルスで、色素性の病変を治療するレーザーの総称です。
代表的なものとして、
– Qスイッチルビーレーザー(694nm)
– Qスイッチアレキサンドライトレーザー(755nm)
– QスイッチNd:YAGレーザー(532nm / 1064nm)
などがあります。
数字(波長)を出しましたが、これを「このシミならこの機械」というセルフ診断表にしないでください。
波長によってメラニンへの吸収の仕方や、光が届く深さが違います。だから医師が、病変の種類と深さ、肌の状態を見て選びます。それだけの話です。「1064nmなら肝斑」「755nmが最強」といった単純な対応表は存在しません。
ピコレーザーとは?
広告でいちばん見かける名前だと思います。だからこそ、丁寧にいきます。
ピコ秒レーザーは、ナノ秒よりさらに短いパルス幅でエネルギーを届ける装置です。色素性病変やタトゥーの治療に使われます。
「新しい=絶対に上」なのでしょうか。データを見てみましょう。
2025年に発表された系統的レビュー/メタアナリシス(21研究・971人)では、こう報告されています。
– 効果:内因性の色素異常(シミなど、もともと体の中にある色素)に対する改善率は、ピコ秒レーザーとナノ秒レーザーで同程度だった
– 痛み:ピコ秒レーザーのほうが痛みは少なかった
– 副作用:炎症後色素沈着(PIH)と炎症後低色素斑(PIHo)は、ヨーロッパの患者よりアジアの患者で明らかに目立った
– ナノ秒レーザーと比べると、ピコ秒レーザーのほうがPIHと低色素斑の発生率は有意に低かった
– ただし著者らは、この安全性の優位性は現時点でアジア人集団のデータで最もよく支持されており、他の肌タイプではデータが乏しいと明記しています
先ほどの2025年 solar lentigines 系統的レビューでも、Qスイッチレーザーとピコ秒レーザーの両方で改善が報告されています。
まとめると、こうなります。
ピコ秒レーザーは、今回のメタアナリシスではアジア人集団でPIHや低色素斑がナノ秒レーザーより少なかったと報告されています。
でも、「ピコなら失敗しない」ではありません。
ですので、次のような表現は使いません。
– ✕ 最新のピコが必ず一番
– ✕ Qスイッチは古いから効かない
– ✕ ピコなら肝斑も安全
– ✕ ピコならダウンタイムゼロ
「起こりにくい」と「起こらない」は、まったく違う言葉です。
IPLはレーザーではありません
必ず区別してください。
IPL=Intense Pulsed Light(インテンス・パルスト・ライト)。 日本語では「光治療」と呼ばれます。フォトフェイシャルなどの名前で提供されていることもあります。
レーザーが単一の波長の光であるのに対し、IPLは幅のある波長の光を使います。光の性質そのものが違います。
老人性色素斑やそばかすなどに使われ、2025年の系統的レビューでも改善が報告されています。興味深いのは、同じレビューがパルス色素レーザーとIPLは、炎症後色素沈着との関連が比較的少なかったと整理している点です。
ですので、この記事ではこう整理します。
「シミ治療の機器=全部レーザー」ではありません。
クリニックで「IPLとレーザー、どちらにしますか?」と聞かれたら、それは別の種類の道具の選択をしている、ということです。
シミ取りスポットとレーザートーニングの違い
同じ「レーザー」でも、この2つはまったく別の考え方です。混同されているのを本当によく見ます。
スポット照射
明確な色素斑を狙って、病変ひとつずつを治療する考え方。「この1個を取る」という発想です。「シミ取り放題」と呼ばれるプランは、基本的にこちらの考え方です。
レーザートーニング
一般には、低出力のQスイッチNd:YAGなどを顔全体へ繰り返し照射する方法として知られています。肝斑などに対して用いられることがあります。「○回コース」で提供されることが多いのは、繰り返すことが前提の方法だからです。
同じ「レーザー」という言葉でも、
– 目的
– 照射する範囲
– 出力
– 回数
– そしてリスクの種類
がまったく違います。
先ほど触れたとおり、レーザートーニングでは照射エネルギーの累積とまだらな低色素斑との関連が指摘されています。一方、スポット照射では一回あたりのエネルギーが高いぶん、かさぶたや炎症後色素沈着が問題になりやすい。気をつけるポイントが違うんです。
「シミ取り放題」と「トーニング○回コース」を、同じものとして考えないでください。
ピコとQスイッチ、どちらがいい?
この記事ではランキングをつけません。理由はもう書いたとおりです。
2025年のメタアナリシスでは、色素異常とタトゥーについて、ピコ秒とナノ秒の有効性は概ね同程度、アジア人集団ではピコ秒のほうが色素沈着・低色素斑が少ない可能性が示されていました。
でも、実際の治療結果を左右するのは、それだけではありません。
– 何の病変か
– どの波長を使うか
– どんな照射設定にするか
– どの機器か
– 誰が照射するか
– その人の肌質と状態
これだけの変数があります。
ですので、結論はこうです。
「ピコかQスイッチか」を先に決めるより、「何を治療するのか」を先に決めてください。
順番が逆になると、機械に合わせて診断を探すことになってしまいます。
1回で消えることはある?
検索でとても多い質問です。答えは、
1回でかなり薄くなる病変もあります。でも、全員・すべてのシミが1回で済むとは言えません。
日光黒子では、1回の照射で高いクリアランスを報告した小規模研究もあります。一方で、複数回必要だった例や、十分な改善が得られなかった例、再び色が目立った例も報告されています。
大切なのは、研究の成功率をそのまま自分の成功率だと思わないことです。病変・機器・設定・肌質・評価方法が違えば、結果も変わります。
結果を左右するのは、
– シミの種類
– 大きさ
– 深さ
– 濃さ
– 使うレーザーや光治療
– 照射設定
– 肌質
– 治療後の炎症反応
などです。
「1回でかなり良くなることもあれば、複数回必要なこともある」。これが現実的な答えです。
強く当てたほうが、よく取れる?
ここは、日本人を含むアジア人の治療を考えるうえでも大事です。
2013年のアジア人を対象にした研究では、193人・355個の日光黒子を、照射の強さが異なる群に分けて比較しました。
その結果、強めに照射した群と穏やかに照射した群でクリアランスに明確な優位差はなかった一方、強めの群ではPIHが多く発生しました。
この研究だけですべてのレーザー設定を決められるわけではありませんが、少なくとも、
「強く当てれば、そのぶんよく取れる」とは限らない
ことを示すデータです。
照射の強さは、病変・肌の状態・機器を見ながら医師が決める領域です。具体的な出力を一般読者が真似して決めるものではありません。
日本人で気をつけたいPIH
炎症後色素沈着(PIH)について、もう少し整理します。
ピコ秒とナノ秒レーザーを比較した2025年のメタアナリシスでは、PIHや低色素斑はヨーロッパ系集団よりアジア人集団で目立ったと報告されています。
一方、アジア人の日光黒子治療におけるPIHの発生率には、研究によってかなり幅があります。PIHの定義、機器、照射方法、肌状態が違うため、「日本人なら何%」と一つの数字では言えません。
大切なのは、
PIHは起こりうる副作用ですが、全員に起こるものではない
ということです。
照射方法や肌状態、治療後の紫外線曝露などがリスクに関係する可能性も報告されています。だからこそ、治療前に自分のPIHリスクと、起きた場合の対応を医師へ確認しておくことが大切です。
レーザー後に一度濃くなることがある理由
これは知らないと、本気で焦ります。
レーザーの後には、
– 赤み
– 腫れ
– ヒリつき
– かさぶた
– 一時的な色の濃さ
– そしてPIH
などが起こることがあります。AADも、レーザーの副作用としてかさぶたや、シミが一時的に濃くなることを挙げています。国民生活センターの解説でも、最も多い副作用は炎症後色素沈着で、一定期間シミが濃くなるが、通常は徐々に軽快すると説明されています。
ですので、
「施術直後より数週間後に一時的に濃く見える=失敗」とは限りません。
……ただし。ここからが大事です。
何でもかんでも「一時的なものです」「効いている証拠です」と説明するのは、この記事では絶対にしません。
濃くなったものが必ず自然に薄くなる、とは限らないからです。特に肝斑が合併している場合は治りにくい、とも指摘されています。
気になる変化があれば、施術した医療機関へ相談してください。 「様子を見てください」と言われるにしても、それは診た上での判断であるべきです。ネットの記事(この記事も含めて)で判断しないでください。
白く抜ける・傷跡などのリスク
反対方向のリスクもあります。
低色素斑(hypopigmentation)。レーザー後に、色が薄くなりすぎることです。
特に、繰り返しのレーザートーニングでは、まだらな低色素斑が発生し、持続することがあると報告されています。これは照射エネルギーの累積と関連する可能性が指摘されています。国民生活センターの解説でも、レーザーによるシミ治療の副作用として色素脱出が挙げられています。
一度白く抜けてしまうと、濃くするのは難しい。だからこそ、「回数を重ねれば重ねるほど良くなる」という考え方は成り立ちません。
そのほか、レーザー治療では、まれに
– 水疱
– 熱傷(やけど)
– 感染
– 瘢痕(傷跡)
なども生じる可能性があります。国民生活センターの解説では、副作用として火傷・瘢痕形成・色素脱出・炎症後色素沈着が挙げられています。
ただ、この記事を恐怖記事にするつもりはありません。2025年の系統的レビューでは、レーザー治療において、治療期間中および追跡期間中に重篤な有害事象の報告はなかったとされています(一方、冷凍凝固療法ではより重い副作用との関連が指摘されていました)。
伝えたいのはこれだけです。
リスクはゼロではありません。だから、施術前に医師から説明を受けてください。
「ゼロだから気にしなくていい」でも、「危ないからやめておけ」でもありません。説明を受けて、納得して決める。それが答えです。
一度取ったら、二度と戻らない?
これも正直に。
治療した日光黒子そのものが、色素の除去後に長く目立たなくなることはあります。AADも、レーザー治療はクリームより長持ちする結果が得られやすい、と書いています。
でも、次のことも同時に起こります。
– 不十分なクリアランス(薄くなったけれど、完全ではない)
– 再び色素が目立ってくる(ある研究では日光黒子の再発率12.7%と報告)
– 新しいシミが、別の場所にできる
– 肝斑は再発しやすい(3か月後の再発を報告した研究があります)
– そばかすは体質的な要素があるため、再び目立つ可能性がある
国民生活センターの解説にも、はっきり書かれています。根治できないシミは再発します。
ですので、
「一度レーザーをしたら、一生シミができない」ということはありません。
ここで区別してほしいのが、「再発」と「新しいシミ」です。
治療した場所にまた色が出てくるのが再発。まったく別の場所に新しくできるのは、単に新しいシミです。後者は治療の失敗ではありません。紫外線を浴び続けていれば、新しいものはできます。
DermNetは、厳格な紫外線対策は、治療後の再発を防ぐために必要であり、また新たな日光黒子の発生リスクを減らすと説明しています。
レーザーでシミが増える?
一律には言えません。
ただし、レーザー後にPIHが生じて、以前より濃く見えるケースはあります。また、肝斑などでは治療の刺激によって悪化する可能性が指摘されています。
ですので、この記事では「レーザーでシミが増殖する」という言い方はしません。
起きているのは「増殖」ではなく、炎症への反応としての色素沈着、あるいはもともとあった別の色素斑が目立ってきた、という現象です。原因を正しく呼ばないと、対処も間違えます。
熱と紫外線|治療後に大事なこと
紫外線対策は必要?
はい。AADやDermNetは、日光黒子の治療後も紫外線対策を続けることを勧めています。新しい日光黒子を増やしにくくすることや、治療後の再発を減らすうえで重要だからです。
一方、レーザー後のPIH予防については、研究条件によって結果が一致していない部分もあります。
ですから、
紫外線対策は基本。ただし「日焼け止めさえ塗ればPIHを必ず防げる」という保証ではない
と考えてください。
治療後にどの程度の遮光が必要か、どの日焼け止めをいつから使うかなど、具体的な術後ケアは施術した医療機関の指示を優先します。
レーザー後のケアは、医療機関の指示を優先
ここは、はっきり線を引かせてください。
かさぶたは剥がしたほうが早く治る?
違います。剥がさないでください。
これは「早く治る」という話ではなく、傷跡や色素沈着のリスクを上げる可能性がある行為です。かさぶたも薄皮も、無理に剥がさない。これだけは共通です。
テープは必要? 何日で取れる? メイクは? 洗顔は?
この記事では、一律の答えを決めません。
理由は単純で、レーザーの種類や出力、病変によって、必要な処置がまったく違うからです。同じ「シミ取りレーザー」という言葉でも、かさぶたができる治療もあれば、ほとんどできない治療もあります。
医療機関からは、
– 保護テープ
– 軟膏
– 保湿
– 洗顔
– メイク
– 入浴
– 紫外線対策
について、個別の指示が出ることがあります。
その指示が、この記事より優先です。 迷ったら、ネットを検索するより、施術したクリニックに電話してください。それが一番早くて正確です。
痛みとダウンタイムについて
痛み
レーザーによって違います。「ゴムではじかれるような感じ」「熱い感じ」「ピリッとする」などと表現されることがあります。麻酔クリームなどを使う場合もあります。
先ほどのメタアナリシスでは、痛みの評価(VAS)はピコ秒レーザーで1.5〜5.61、ナノ秒レーザーで1.0〜7.9と報告されており、どちらも耐えられる範囲だが、ピコ秒レーザーのほうが痛みは少なかったとされています。
ただし、この幅を見てください。同じレーザーでも、1.0から7.9まで開きがあります。病変、機器、設定、部位、そして個人差で変わるということです。
ですので、「痛くないですよ」という保証はしません。事前に医師へ確認してください。
ダウンタイム
これもレーザーによって大きく違います。
– 赤み
– 腫れ
– ヒリつき
– かさぶた
– 一時的な色の変化
などが起こりえます。
ピコ秒レーザーでもゼロとは限りません。 IPLは比較的ダウンタイムが少ない場合がありますが、これもゼロ保証ではありません。
「ダウンタイムなし」という言葉を見たら、「何をもってダウンタイムと呼んでいるのか」を確認してみてください。
夏はレーザーできない?
「夏は禁止」とは言い切れません。 季節だけで絶対に不可、とする根拠は確認できませんでした。
ただし、治療前後の紫外線曝露は重要です。日焼けした状態の皮膚では治療を延期する場合があります。 また先ほど触れたとおり、日中の屋外活動がPIHのリスク因子として報告されています。
医療機関が、肌の状態と治療法を見て判断する領域です。「冬しかできない」も「一年中いつでも同じ」も、どちらも正しくありません。
「シミ取り放題」はどう考える?
この記事は広告批判をするためのものではありません。料金プランとしての「取り放題」を否定するつもりもありません。
ただ、ひとつだけ整理させてください。
「取り放題」という料金プランと、「医学的に全部照射していいかどうか」は、別の話です。
顔には、老人性色素斑、肝斑、そばかす、炎症後色素沈着、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)などが混在していることがあります。国民生活センターの解説でも、中年以降では種類の違うシミが混在していることが多い、と説明されていましたね。
そして、これらは同じ当て方では扱いません。肝斑に強いスポット照射をすれば悪化する可能性があるし、ADMは真皮にあるので表皮の治療とは考え方が違います。
つまり、
「数が多い=全部同じレーザーで全部取る」とは限らない。
「10個取り放題」で、そのうち3個が肝斑だったら、その3個は別の考え方が必要かもしれません。
大事なのは、値段でも個数でもなく、照射前に医師が診察することです。
「診察1分でレーザー」は大丈夫?
特定のクリニックを、診察時間だけで良い・悪いと判断することはできません。
ただし厚生労働省は、カウンセラーとの相談だけで治療内容が決まり、医師がその内容をそのまま実施するような事例を問題として挙げています。
大切なのは「何分診察したか」ではなく、
– 医師が診察しているか
– 何の病変と考えているか説明があるか
– なぜその治療を選ぶのか説明があるか
– 効果だけでなく副作用や他の選択肢も説明されているか
– 自分で納得して選べているか
です。
厚生労働省の美容医療チェックでも、効果だけでなくリスク、副作用、他の選択肢を理解し、「今すぐ必要か」まで考えるよう案内しています。

レーザー前に、医師へ聞きたいこと
そのまま持っていけるように、リストにしました。スマホのメモに貼り付けてください。
診断について
1. 私のこの色素斑は、何と考えられますか?
2. 肝斑が混ざっている可能性はありますか?
3. 悪性のものを疑う所見はありませんか?
治療方針について
4. なぜ、このレーザー(または光治療)を選ぶのですか?
5. ほかの選択肢はありますか?
6. 何回くらいを想定していますか?
7. 1回で残った場合は、どうしますか?
リスクについて
8. 炎症後色素沈着(PIH)が起こる可能性はどのくらいですか?
9. 色が抜けてしまう可能性はありますか?
10. ダウンタイムはどのくらいですか?
治療後について
11. テープや軟膏は必要ですか?
12. 洗顔・メイクはいつからできますか?
13. 治療後の日焼け対策は、どうすればいいですか?
14. 施術後に濃くなった場合、どう対応してもらえますか?
最後の14番目は、意外と聞き忘れます。でも、いちばん聞いておいてよかったと思う質問かもしれません。
なお、厚生労働省は、万が一合併症が発生した場合、一人で悩まず、都道府県などが設置している患者相談窓口(医療安全支援センター)や消費者ホットラインに相談するよう案内しています。
美容医療は、結果を保証できません
大切なことなので、はっきり書いておきます。
厚生労働省は現在の美容医療注意喚起で、美容医療は医療行為であり、患者へ結果の達成を約束できるものではないと案内しています。
レーザーは魔法ではありません。一方で、適応のある色素斑に対して改善を報告した研究はあります。
つまり、
期待できることと、限界・副作用を一緒に聞いて決める治療
だと考えてください。
– 必ず取れる
– 100%消える
– 絶対に再発しない
– ノーリスク
– ダウンタイムなし保証
といった言い切りだけで判断しないことが大切です。
シミ取りレーザーは、美容室やエステでできる?
医療レーザーによるシミ治療は、医療機関で行う領域です。
治療の適応や照射方法には医学的判断が必要です。美容室やエステの美容機器と、医療機関で行うレーザー治療を同じものとして考えないでください。
そして、美容師はシミを診断しません。レーザーを照射したり、治療方針を決めたりもしません。
美容師が見た目の変化に気づくことはあっても、それが何の病変かを判断するのは医師の領域です。気になる変化があれば、皮膚科への相談を案内するところまでが美容側の役割です。
美容でできること・医療に任せること
線引きを整理しておきます。
美容でできること
– 紫外線対策(帽子、日傘、日焼け止め、時間帯の工夫)
– 肌を必要以上にこすらない(クレンジング、タオル、マスクの摩擦)
– 刺激が出る化粧品を、無理に使い続けない
– メイクで色むらをカバーする(これは立派な選択肢です)
– 市販の化粧品を、医療の治療の代わりだと考えない
– 変化する色素斑を、自己処置しない
最後の項目が、いちばん大事かもしれません。
なお、「美白」という言葉について。日本には医薬部外品としての美白の効能に関する制度がありますが、これはメラニンの生成を抑えて、日やけによるシミ・そばかすを防ぐという趣旨のものです。すでにできたシミを、レーザーのように除去するという意味ではありません。 ここは区別しておいてください。
医療に任せること
– 色素斑の診断
– レーザーの適応判断
– 肝斑の治療方針
– 医療用の外用薬・内服薬
– レーザー、IPLなど医療機器による施術
– 施術後の合併症の診断・治療
– 悪性病変との鑑別
レーザーを考える前に、この4つ
「結局、今日から何をしたらいいの?」への答えです。
1.まず写真を撮っておく
スマホで構いません。同じ場所、同じ明るさで。
これは自己診断のためではありません。「いつからあるか」「どのくらい変化したか」を医師に伝えるための材料です。「なんとなく最近濃くなった気がして」より、3か月前の写真があるほうが、話がずっと早くなります。
2.変化しているシミは、皮膚科へ
色、形、大きさ、境界、出血。変化しているものは、美容の相談より先に、医療の確認です。
3.紫外線対策
これ以上の光老化を減らす基本です。治療するにしても、しないにしても、ここは変わりません。
4.「機械の名前」より、診断を聞く
これが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。
「ピコがいいですか?」
「トーニングって効きますか?」
——ではなく、まず、
「これは何の色素斑ですか?」
この一言から始めてください。順番が逆になると、道具に合わせて自分を当てはめることになってしまいます。
皮膚科で先に確認したいサイン
繰り返しになりますが、大事なので改めて。
– 急に出てきた
– 大きくなっている
– 形が変わっている
– 色がまだら
– 境界が不規則
– 出血する
– かさぶたを何度も繰り返す
– 盛り上がってきた
– 痛み・かゆみがある
– 以前と明らかに違う
こうした変化があるとき、このリストで「がんかどうか」を自己判断しないでください。 チェック項目に当てはまるものの多くは、良性です。
でも、判断するのは医師です。だから伝えたいのは、この一行だけです。
変化があるなら、レーザーの契約より先に、皮膚科。
皮膚科と美容皮膚科、どちらへ行けばいい?
特定の施設をおすすめすることはしません。
– 一般皮膚科でも、色素斑の診断は相談できます。「これは何ですか」を確認したいなら、まずここで十分です
– 美容皮膚科では、美容目的のレーザー・光治療を扱っている施設があります
重要なのは、看板の名前ではなく、次のことが揃っているかです。
– 医師が診察する(カウンセラーだけで決まらない)
– 色素斑の種類を確認する
– 施術の適応とリスクを説明する
– トラブルが起きたときに、医療として対応できる
看板名だけで安全性は決まりません。中で何が行われるかを見てください。
よくある質問
1.シミ取りレーザーは本当に効きますか?
効果が期待できる色素斑はあります。特に老人性色素斑(日光黒子)では、レーザーは確立した治療選択肢のひとつです。ただし、すべてのシミに同じように効くわけではありません。
2.シミは1回で消えますか?
1回でかなり薄くなる病変もありますが、全員・すべてのシミが1回で済むとは言えません。複数回必要な例も報告されています。
3.どんなシミにレーザーが効きやすい?
一般に、老人性色素斑やそばかすなど、表皮にメラニンが沈着したタイプは反応しやすいとされています。ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)もレーザー治療の対象になる病変として説明されています。
4.老人性色素斑とは?
長年の紫外線曝露と関連する良性の色素斑です。日光黒子、solar lentigo とも呼ばれます。顔、手の甲、前腕など日に当たりやすい場所に出やすく、境界がはっきりした平らな斑です。
5.肝斑にもレーザーできますか?
行われることはあります。ただし第一選択でも唯一の方法でもありません。内服・外用と紫外線対策が土台にあり、その上でレーザーや光治療を追加することで結果が良くなる場合がある、と整理されています。
6.肝斑にレーザーすると悪化しますか?
「必ず悪化する」とは言えません。ただし、攻撃的に照射すれば、低出力であっても不要な炎症を介して色素沈着を招くことがあると報告されています。医師の判断が必要な領域です。
7.レーザートーニングとは?
一般に、低出力のQスイッチNd:YAGなどを顔へ繰り返し照射する方法として知られ、肝斑などに用いられることがあります。スポット照射とは目的も出力も回数もリスクも異なります。
8.ピコレーザーとは?
ナノ秒よりさらに短いパルス幅でエネルギーを届ける装置です。色素性病変の治療に使われます。
9.Qスイッチレーザーとは?
ナノ秒単位の非常に短いパルスで色素性病変を治療するレーザーの総称です。ルビー(694nm)、アレキサンドライト(755nm)、Nd:YAG(532nm/1064nm)などがあります。
10.ピコとQスイッチはどっちがいい?
ランキングはつけられません。2025年のメタアナリシスでは、内因性の色素異常に対する効果は同程度で、アジア人集団ではピコ秒のほうが色素沈着や低色素斑が少ない可能性が示されました。ただし何を治療するかが先です。
11.IPLはレーザーですか?
違います。IPLは幅のある波長の光を使う光治療で、レーザーとは光の性質が異なります。
12.シミ取り放題なら全部取れますか?
料金プランと、医学的に全部照射してよいかは別の話です。顔には複数の種類の色素斑が混在していることがあり、同じ当て方では扱いません。照射前の医師の診察が重要です。
13.レーザー後に濃くなることはありますか?
あります。最も多い副作用が炎症後色素沈着で、一定期間濃くなり、通常は徐々に軽快するとされています。ただし何でも「一時的」と決めつけず、気になる変化は施術した医療機関へ相談してください。
14.PIHとは?
炎症後色素沈着(post-inflammatory hyperpigmentation)のことです。炎症のあとに色素が沈着して茶色く見える状態で、レーザー後にも起こりえます。
15.レーザー後に白く抜けることはありますか?
あります。低色素斑と呼ばれます。特に繰り返しのレーザートーニングでは、まだらな低色素斑が報告されており、照射エネルギーの累積との関連が指摘されています。
16.かさぶたは何日で取れる?
レーザーの種類や出力、病変によって違います。施術医の説明に従ってください。
17.かさぶたを剥がしていい?
剥がさないでください。かさぶたも薄皮も、無理に剥がさないのが基本です。
18.テープは必要?
治療法によって異なります。施術した医療機関の指示に従ってください。
19.レーザー後にメイクできますか?
これも治療法によって異なります。施術医の指示が優先です。
20.洗顔できますか?
同じく、施術した医療機関の指示に従ってください。この記事で一律には決められません。
21.日焼け止めは必要?
紫外線対策は基本です。新しい色素斑を減らし、治療後の再発を防ぐために重要とされています。ただし、日焼け止めだけでPIHが必ず防げるという保証ではありません。
22.一度取ったシミは戻りますか?
戻ることがあります。再発を報告した研究もあります。また、治療した場所とは別に、新しいシミができることもあります。「再発」と「新しいシミ」は分けて考えてください。
23.シミが増えることはありますか?
「レーザーでシミが増殖する」という言い方はできません。ただしPIHによって以前より濃く見えることや、肝斑が刺激で悪化する可能性はあります。
24.痛いですか?
レーザーによって違います。ゴムではじかれるような感じ、熱感などと表現されます。麻酔クリームを使う場合もあります。「痛くない」という保証はできません。
25.ダウンタイムはありますか?
治療法によって大きく違います。赤み、腫れ、かさぶた、一時的な色の変化などが起こりえます。ピコ秒レーザーでもゼロとは限りません。
26.傷跡は残りますか?
まれに水疱、熱傷、感染、瘢痕などが生じる可能性があります。頻度は高くありませんが、ゼロではありません。事前に医師から説明を受けてください。
27.何回必要ですか?
病変の種類、大きさ、深さ、濃さ、使う機器、肌質などで変わります。事前に想定回数と、残った場合の対応を確認しておくと安心です。
28.ピコならダウンタイムなしですか?
そうとは限りません。「起こりにくい」と「起こらない」は違います。
29.夏はレーザーできませんか?
季節だけで絶対に不可とは言えません。ただし治療前後の紫外線曝露は重要で、日焼けした皮膚では延期する場合があります。医療機関の判断によります。
30.美容室・エステでもシミ取りできますか?
できません。しみ取りを目的とする医療レーザー治療は、医療機関で医師の医学的判断のもとに行う美容医療です。
31.皮膚科と美容皮膚科、どちらへ行けばいい?
一般皮膚科でも色素斑の診断は相談できます。美容目的のレーザー・光治療を扱う施設は美容皮膚科に多くあります。看板名より、医師が診察するか、リスクの説明があるか、トラブル時に対応できるかで判断してください。
32.レーザー前に医師へ何を聞けばいい?
「これは何の色素斑ですか?」から始めてください。そのうえで、選ぶ理由、想定回数、PIHや色抜けの可能性、ダウンタイム、術後のケア、そして「濃くなった場合の対応」を確認してください。
まとめ
長くなりましたので、最後に整理します。
レーザーが効くシミは、ちゃんとあります。
特に老人性色素斑のように、レーザーが良い適応となる色素斑は存在します。魔法ではありませんが、科学的な効果はきちんとあります。
でも、「シミ」は1種類ではありません。
老人性色素斑、そばかす、肝斑、炎症後色素沈着、ADM、脂漏性角化症——見た目が茶色くても、中身が違えば、効く方法も、気をつけることも違います。老人性色素斑と肝斑を、同じ当て方では考えません。
ピコだから一番、でもありません。
効果は概ね同程度、日本人の肌では副作用が少ない可能性がある。それは意味のある情報ですが、「失敗しない」という意味ではありません。
IPLはレーザーではありません。 別の道具です。
強く当てれば、そのぶんよく取れるわけでもありません。 強い照射は炎症後色素沈着を増やす一方、効果の面では優位性がなかった、というデータがあります。
レーザー後に一度濃くなるPIHというものがあります。 それは起こりうることですが、何でも「一時的です」で片づけていいものでもありません。
1回で取れることもありますが、それは保証ではありません。
そして、いちばん大事なこと。
「シミ取り放題」を探すより先に、「これは何のシミですか」を診てもらう。
これが、いちばん安全で、いちばん結果につながりやすい順番です。
機械の名前は、あとで大丈夫です。まず、何が見えているのかを確認しましょう。
もし急に出てきた、大きくなってきた、色がまだら、出血する——そんな変化があるなら、迷わず皮膚科へ。それはシミの相談ではなく、医療の相談です。
そして日々のことは、いつもどおりでいきましょう。帽子と日傘、そして必要なときはメイクでカバーする。それも立派な選択です。シミを消すことだけが、きれいでいる方法ではありませんから。
気になることがあれば、いつでもお声がけください。診断はできませんが、「どこに相談したらいいか」を一緒に考えることはできます。
執筆:Dolce(美容師歴20年以上)
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