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鼻の黒いポツポツは角栓?いちご鼻の正体とやさしいケア

公開:2025年9月25日更新:2026年8月28日美容の現場視点を含む記事
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洗ったばかりなのに、鼻のポツポツが消えない

明るい洗面所で、鏡に顔を近づける。洗顔したばかりなのに、鼻には黒い点がぽつぽつ見えている。

爪でそっと押してみると、白いものがニュッと出てくる。取れると、なんだか気持ちがいい。もう一つ、もう一つ、と続けてしまう。

そして翌日、また同じところに戻っている。

この流れ、経験のある方は多いと思います。そして、こう考えてしまうのではないでしょうか。「洗い方が足りないのかな」「クレンジングが甘いのかな」と。

先にお伝えしておきます。鼻のポツポツが見えることは、「きちんと洗えていない証拠」ではありません。

かといって、「全部正常だから何もしなくていい」という話でもありません。鼻に見えているものの中には、皮膚科でケアの対象になるものと、そもそも取る必要のないものが混ざっています。

この記事では、まず「今、何が見えているのか」を分けるところから始めます。そのうえで、自宅でできること、やりすぎない方がいいこと、皮膚科にお願いした方がいいことを整理していきます。

鏡を一緒に見ながら話しているつもりで、気楽に読んでみてください。

先に結論|鼻の黒い点は、全部「角栓」ではありません

黒ニキビと白ニキビと皮脂腺フィラメントなど鼻のポツポツの違いを示す図

いちばん大事なところなので、最初に書きます。

一般的に「いちご鼻」と呼ばれる見た目の中には、いくつも違うものが混ざっています。

毛穴の出口が詰まった開放面皰(かいほうめんぽう/いわゆる黒ニキビ)

出口が閉じたまま詰まった閉鎖面皰(へいさめんぽう/いわゆる白ニキビ)

皮脂を肌の表面へ運ぶ、正常な構造である皮脂腺フィラメント

毛穴そのものの影

産毛

炎症のあとに残った色の変化

これらは、見た目が似ていても、中身も、対応の仕方も違います。

つまり、「黒い点=角栓=取れば解決」ではないということです。見えるものを片っ端から押し出しても、うまくいかないのはこのためです。

そもそも「角栓」って何のことでしょう

日本の美容の世界では「角栓」という言葉がとても広く使われています。便利な言葉なので、私も会話ではよく使います。

ただ、美容の会話で使う「角栓」は、医学的な診断名と一対一で対応する言葉ではありません。一般に角栓と呼ばれているものの中に、面皰や皮脂腺フィラメントなど、違う状態が一緒に含まれていることがあります。

医学の世界で使われるのは、面皰(コメド)という言葉です。毛穴(毛包)の中に、角化した細胞と皮脂などがたまって詰まった状態を指します。そして面皰は、ニキビ(尋常性ざ瘡)の初期の病変として扱われます。

ここで、よく見かける説明についてひとつだけ。

「角栓は皮脂○%・タンパク質○%」といった固定割合を見かけることがありますが、この記事では使いません。面皰では、毛包内の角化物質と皮脂などが詰まりに関わることが分かっています。単純な「油のかたまり」と考えない方がよいでしょう。

毛穴の中では何が起きている?

毛穴は、毛が生えてくる出口です。その奥には毛包があり、そこに皮脂腺がついています。

皮脂腺で作られた皮脂は、毛包を通って皮膚の表面へ出ていきます。皮脂は皮膚表面の脂質を構成するもののひとつで、単純に「なくすほど良いもの」ではありません。

一方で、毛穴の内側の壁でも、肌の表面と同じように角化(古い細胞ができて剥がれていく入れ替わり)が起きています。

この角化が過剰になったり、皮脂の量や性質が変わったりすると、毛包の中に内容物がたまって詰まりにつながることがあります。この、まだ目に見えないくらい小さな詰まりを微小面皰(マイクロコメド)と呼び、これが大きくなると、黒ニキビや白ニキビとして見えるようになる、という流れです。

「いちご鼻」に混ざっているものを、ひとつずつ

黒ニキビ(開放面皰)

毛穴の出口が開いた状態で、中に詰まりがあるものです。出口が広がっていて、詰まった内容物の先端が外に接しています。

見た目は、黒っぽい小さな点。触るとわずかに盛り上がっていることがあります。

これは、ニキビの一種として扱われます。つまり、スキンケアの話であると同時に、皮膚科の治療対象にもなりうるものです。

白ニキビ(閉鎖面皰)

こちらは、毛穴の出口が閉じたまま詰まりができている状態です。肌色から白っぽい、小さな盛り上がりとして見えます。

ただし、白いポツポツが全部これというわけではありません。 たとえば稗粒腫(はいりゅうしゅ)のように、別の成り立ちのものもあります。見た目だけで自分で判断するのは難しい、と思っておいてください。

皮脂腺フィラメント

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

皮脂腺フィラメント(sebaceous filaments)は、皮脂腺・毛包の中にみられる細い糸状の構造として説明され、皮脂が皮膚表面へ移動することに関わる正常なものです。

正常な皮膚でみられるもので、皮脂が多い部位では目立ちやすくなります。

見た目は、灰色、薄い茶色、黄色っぽい、といった小さな点。黒ニキビと違って、盛り上がらず、肌の表面と平らなことが多いです。痛みもありません。

黒ニキビとの違いを、もう少しはっきり書いておきます。

黒ニキビは、毛包の出口に面皰という詰まりができている状態

皮脂腺フィラメントは、一般に面皰とは別の正常構造として扱われ、皮脂の通り道そのものを塞ぐ栓ではありません

つまり、皮脂腺フィラメントはニキビではありません。

毛穴の影・産毛・色の変化

これも意外と多いです。毛穴そのものの凹みが影になって黒く見えている場合、細い産毛が毛穴から出ていて点に見える場合、過去の炎症のあとに色素が残っている場合。

どれも「詰まりを取れば消える」ものではありません。

ここだけ覚えておいてもらえたら

要点をまとめます。

鼻の黒い点は、全部が「汚れの詰まった角栓」ではありません。毛穴が詰まった黒ニキビもあれば、皮脂を表面へ運ぶ正常な皮脂腺フィラメントが目立っているだけの場合もあります。

だから、見えるものを全部押し出そうとするのではなく、まず「何が見えているのか」を分けて考えることが大切です。

そして、皮脂腺フィラメントは正常な構造です。永久にゼロにすることを目標にするものではありません。 一時的に目立ちにくくなっても、また見えるようになることがあります。

繰り返す黒ニキビや白ニキビは、スキンケアで粘りすぎず、皮膚科で相談できるものです。

黒ニキビが黒いのは「汚れ」だから?

「黒い点=汚れ」と思っている方は、とても多いです。ここは、はっきり書きます。

黒ニキビの黒は、外から付いた汚れの色ではありません。

皮膚科の資料では、開放面皰が黒く見えるのは表面の色素(メラニン)によるものであって、汚れではない、と説明されています。また、面皰の中の酸化した脂質とメラニンの両方が、あの黒い色に関わっているという記述もあります。

つまり、黒くなる理由を「皮脂が酸化しただけ」と一つに決めることもできません。 複数の要素が関わっています。

いずれにせよ、汚れが表面にこびりついているわけではないので、こすって落とす対象ではありません。ここを知っているだけで、ゴシゴシ洗いたくなる気持ちは少し落ち着くと思います。

皮脂腺フィラメントは、取った方がいいの?

押すと、白っぽい、黄色っぽい糸のようなものがニュッと出てくることがあります。あの感触、気持ちいいですよね。「角栓が取れた」と思ってしまうのも、よく分かります。

でも、これは正常な構造です。取ってもまた目立つようになります。

Cleveland Clinicでも、皮脂腺フィラメントは正常な皮膚の要素で、押し出しても再び毛穴の中で目立つようになると説明されています。つまり、取るたびに「永久になくなる」ものではありません。

だからといって、「絶対に触らないでください」と怖がらせたいわけではありません。

お伝えしたいのは、毎日鏡で探して、全部押し出す必要はありませんよということだけです。目指すゴールがゼロだと、終わりが来ません。

見え方を少しやわらげる工夫はできます。ただ、それは「なくす」ケアではなく、「目立ちにくくする」ケアです。ここを分けておくと、気持ちがずいぶん楽になります。

取っても、すぐ戻るのはなぜ?

毛穴の内容物を一時的に取ることと再び目立つことの違いを示す図

「取り残しがあったから復活したのかな」と考える方がいますが、そうではありません。

理由はシンプルです。

皮脂は継続して作られています。 皮脂腺が働いている以上、毛穴の中を永久に「空っぽ」に保つという考え方には無理があります。

毛穴の内側も入れ替わっています。 角化は日々起きています。

皮脂腺フィラメントは正常な構造です。 なくすものではないので、また見えるようになります。

面皰も、中身を出せば原因が消えるわけではありません。 詰まりができやすい状態そのものが変わらなければ、また同じことが起こります。

毛穴は、生きた組織です。表面のゴミを掃除するのとは違います。「完全に空っぽにして、その状態を保つ」というゴール設定自体が、少し無理があるんです。

鼻に目立ちやすいのは、なぜ?

鼻、額、あご。このあたりは、皮脂腺が比較的多く集まっている部位です。実際、Cleveland Clinicも、皮脂腺フィラメントが目立ちやすいのは鼻・額・あご・頬だと説明しています。皮脂腺の密度が高いからです。

皮脂の影響を受けやすい場所なので、

面皰ができやすい

皮脂腺フィラメントが目立ちやすい

毛穴の見え方が目につきやすい

という条件が重なります。

「鼻は汚れがたまりやすいから」ではなく、もともとそういう作りの場所だから、という理解のほうが正確です。

毎日ちゃんと洗っているのに、なぜ?

ここも、責める話にはしたくありません。

面皰ができる背景には、毛包の中での角化の変化、皮脂の量や質、ホルモンの影響、体質など、いくつもの要素が関わっています。洗顔やクレンジングの不足だけで説明できるものではありません。

毎日きちんと洗っていても、黒ニキビが出ることはありますし、皮脂腺フィラメントは誰にでも見えます。

「ファンデーションが毛穴の奥まで詰まって角栓になる」といった説明も見かけますが、面皰の成り立ちはそういう単純なものではありません。もちろん、メイクをした日はきちんと落としたほうがいいのですが、それは「落とさないと角栓ができる」という脅しとは別の話です。

では、洗いすぎるとどうなる?

こちらもよくある話で、「皮脂を取りすぎると、かえって皮脂が増える」と説明されることがあります。ただ、これを裏づけるはっきりした根拠は確認できませんでした。断定しないでおきます。

代わりに、実際に起きやすいことを書きます。

強い洗浄や摩擦を繰り返すと、乾燥、ヒリつき、赤みなどにつながることがあります。 肌の状態が乱れると、結果的にケアの選択肢も狭くなります。

洗う回数についても、「1日◯回が正解」とは言えません。皮脂の量、季節、メイクをするかどうか、使っている製品によって変わります。洗ったあとにつっぱる・かゆくなるなら、洗浄が強すぎるか、洗い方が強いのかもしれません。

爪で押し出すのは、やっぱりダメ?

きれいにしたい気持ちからやってしまうことなので、頭ごなしに否定はしません。ただ、リスクは知っておいてください。

米国皮膚科学会(AAD)は、ニキビについてつまむ・つぶす・かく・絞るといった行為をしないよう案内しています。理由は、これらが肌の炎症を強めるからです。炎症が強いほどニキビ痕が残りやすくなり、感染や色の変化のリスクも上がる、と説明されています。

自分でつぶすと、内容物の一部が皮膚の奥に押し込まれてしまうことがあり、それがかえって炎症を悪化させることもあります。手指の細菌による感染のリスクもあります。

一方で、「一度押したら毛穴が一生広がる」「一回でクレーターになる」といった話も見かけますが、そこまで断定できるものではありません。過度に怖がる必要はありません。

現実的な線引きとしては、こうです。

赤みや痛みのあるものは触らない。 ここを押すのがいちばんリスクが高いです。

同じ場所を繰り返し押さない。 何度も刺激を重ねることも、赤みや傷につながる原因になります。

爪は使わない。 皮膚より爪のほうがずっと硬いので、簡単に傷になります。

コメドプッシャーはどうですか?

美容器具として売られていますし、皮膚科でも面皰圧出という処置が行われることがあります。ですから「絶対にダメ」とは言いません。

ただ、医療者が状態を見て、器具を清潔にして、適切な対象に行う処置と、自宅で毎晩、鏡を見ながら何度も押し続けることは、同じではありません。

自己処置を積極的にすすめることは、この記事ではしません。特に、炎症のあるものや、押しても出ないものを無理に攻めるのは避けてください。

毛穴パックは使ってもいい?

剥がすタイプの鼻用パック。バリバリと剥がして、取れたものを見る瞬間は、たしかに達成感がありますよね。

ここで分けて考えたいのは、「取れる」ことと「できなくなる」ことは別だということです。

一時的に、表面の角質や毛穴の内容物が取れて、見た目がすっきりすることはあります。それは事実です。

でも、

毛穴そのものがなくなる

皮脂腺フィラメントが永久に消える

面皰が二度とできなくなる

これらは起こりません。

さらに、毛穴パックでは、黒ニキビだけを選んで取れるわけではなく、表面の角質や皮脂腺フィラメントなども一緒に除去されることがあります。肌質や使い方によっては、刺激や乾燥感につながることもあります。

「一回使っただけで肌が壊れる」とは言いません。ただ、取れた量に達成感を覚えて、頻繁に繰り返すのは、あまり良い方向には進みにくいと思います。

オイルクレンジングで角栓は溶ける?

ここは誤情報がとても多い部分なので、慎重にお話しします。

オイルクレンジングは、メイクや油性の汚れを落とすためには有用です。それは、その通りです。

ただ、「油は油を溶かすから、毛穴の角栓を全部溶かせる」という説明は、単純すぎます。

理由は、すでに書いたとおりです。面皰は皮脂だけの塊ではなく、角化した細胞が主体になっています。油分でそれをまるごと溶かして取り出せる、という話ではありません。

オイルクレンジングはメイクを落とす目的では便利ですが、主要なニキビ診療ガイドラインで面皰を治療する方法として位置づけられているわけではありません。 「角栓治療」と「クレンジング」は分けて考えてください。

長時間クルクルするのは?

「鼻を◯分間くるくるすると角栓が浮いてくる」というやり方が広まっていますが、これはおすすめしません。

角栓を出そうとして同じ場所を長くこすり続けると、摩擦や洗浄による刺激が増えます。クレンジングは、まず製品に示された使い方に従ってください。

何分が正解、という数字を出すつもりはありません。「角栓を取るために、同じところを長くこすらない」。この一点だけ覚えておいてください。

スクラブ・酵素洗顔はどう考える?

スクラブ

粒子で物理的に表面の角質を落とすケアです。毛穴の奥をかき出す道具ではありません。

使ってはいけない、という話ではありません。ただ、強く、頻繁に行えば、摩擦の刺激になります。特に、赤みや炎症のあるニキビがあるところに強い摩擦を加えるのは避けてください。

酵素洗顔

美容記事でよく見かける「角栓の70%はタンパク質だから、酵素で溶かす」という説明。これは、根拠を確認できませんでした。ですからこの記事では使いません。

酵素洗顔は、表面の角質や汚れを落とす洗浄ケアのひとつです。使用感が心地よくて、続けている方もいると思います。

ただし、

面皰を治療するもの

毛穴の詰まりを永久に取り除くもの

皮脂腺フィラメントをなくすもの

ではありません。

刺激を感じるなら、頻度を落とす、あるいはやめる。これで大丈夫です。

「週2回が正解」ではありません

酵素洗顔もピーリングもスクラブも、「週何回」と決められるものではありません。製品の濃度、肌の状態、使う部位、他に何を使っているかで変わります。

まずは製品に書かれている使い方に従う。刺激が出たら頻度を落とすか、やめる。 これがいちばん確実です。

サリチル酸(BHA)はどうですか?

「毛穴といえばBHA」という情報を見た方も多いと思います。ここは、少し丁寧に説明させてください。

海外のガイドラインでの位置づけ

米国皮膚科学会(AAD)の2024年ニキビ診療ガイドラインでは、外用サリチル酸は治療選択肢のひとつとして条件付き推奨されています。つまり、ニキビ治療で使われることはありますが、誰にでも最優先で使うものとして位置づけられているわけではありません。

同じガイドラインでは、外用レチノイドや過酸化ベンゾイルは強く推奨されています。サリチル酸だけを「毛穴ケアの正解」と考えず、症状や国ごとの製品区分を分けて考えることが大切です。

日本の事情は違います

ここが重要です。海外の市販品の濃度を、そのまま日本の製品に当てはめないでください。

日本の化粧品には「化粧品基準」というルールがあり、サリチル酸は防腐剤として最大0.2%まで、と定められています。海外でよく見る「2%BHA」のような濃度の製品は、日本の化粧品の枠組みとは前提が違います。

(医薬部外品や医薬品になると区分が変わり、扱いも変わります。)

ですからこの記事では、

「2%のBHAを使いましょう」

「海外製品を個人輸入しましょう」

「濃度が高いほど効きます」

とは書きません。海外製品は、日本の化粧品と同じ制度・濃度の前提ではありません。濃度だけを見て「高いほど効く」と判断しないでください。

サリチル酸を含む製品を使うなら、その製品の表示に従ってください。 迷ったら、皮膚科や薬剤師に相談するのがいちばんです。

アダパレンなど、ニキビ治療との違い

海外の美容記事を読んでいると、「アダパレンはドラッグストアで買える」と書かれていることがあります。国によっては、実際にそうです。

ただし、日本ではアダパレンは医療用医薬品です。 処方が必要で、市販のスキンケアとして自分で買って使うものではありません。

日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」でも、面皰(コメド)に対してはアダパレンや過酸化ベンゾイルの外用が推奨されています。これは、医療として行われる治療です。

つまり、繰り返す面皰には、皮膚科で治療する選択肢があります。 自分で押し出す以外の方法がある、ということを知っておいてください。

化粧品の「レチノール」と、医療用のレチノイドは別物です

ここも混同されやすいところです。

化粧品に配合されるレチノールと、ニキビ治療に使われる医療用の外用レチノイド(アダパレンなど)は、同じものではありません。目的も、位置づけも、扱いも違います。

「レチノールを塗れば黒ニキビが治る」とは書けません。化粧品はあくまで化粧品であって、ニキビの治療薬ではありません。

冷水・蒸しタオルで、毛穴は開いたり閉じたりする?

「蒸しタオルで毛穴を開いてから、最後に冷水で引き締める」。定番の情報ですよね。

ただ、毛穴に、ドアのように開いたり閉じたりする仕組みがあるわけではありません。 そういう機構を示す資料は確認できませんでした。

温めたり冷やしたりすることで、一時的に肌の見え方や感触が変わることはあり得ます。ただ、それと「毛穴を物理的に開閉する」ことは別です。

蒸しタオルを当てるのが気持ちいい、リラックスできる。そういう理由で続けるのは構いません。ただ、「これで毛穴が開いたから、今なら全部出せる」と考えて、そのあとに強く押し出してしまう。この流れがいちばん避けたいところです。

「冷水で毛穴を閉じる」も同様です。永久に閉じるものではありません。

ちなみに、毛穴の大きさそのものの話(たるみや加齢との関係など)は、また別のテーマになるので、ここでは深入りしません。

保湿はした方がいい?

皮脂が多い方ほど、「保湿すると余計に詰まりそう」と感じることがあります。その感覚も分かります。

ただ、保湿=油分を大量に塗ること、ではありません。

洗浄や摩擦で肌が乾いたり荒れたりすると、そのあとのケアが続けにくくなります。肌の状態に合った保湿をすることは、刺激や乾燥を避けるうえで意味があります。

とはいえ、

保湿すれば皮脂が減る

保湿すれば角栓がなくなる

とは言えません。保湿はあくまで、肌のコンディションを整えるためのものです。

ノンコメドジェニックって何ですか?

「ノンコメドジェニックテスト済み」という表示を見かけることがあります。一般には、面皰ができにくいかを評価した製品であることを示す表示として使われています。

毛穴の詰まりが気になる方が製品を選ぶときの、ひとつの参考にはなります。

ただし、「絶対にニキビができない」という保証ではありません。 肌の状態や使い方によって、結果は変わります。表示だけを頼りにしすぎないでください。

角栓が気になるとき、やりすぎやすい5つ

どれも「きれいにしたい」からやっていることです。責める意図はまったくありません。ただ、心当たりがあったら、少し力を抜いてみてください。

1.毎日、押し出す。 取れると気持ちいいので、つい習慣になります。でも、皮脂腺フィラメントなどは再び目立つことがあります。ゼロを目指すと、終わりのない作業になりやすいです。

2.強いスクラブでこする。 表面の角質は落とせても、毛穴の奥をかき出すことはできません。摩擦だけが残ります。

3.クレンジングを長時間くるくるする。 角栓を出す目的で同じ場所を長くこすり続けると、刺激が増えます。製品の使い方を超えて続けないようにしてください。

4.剥がすパックを何度も使う。 取れた量に達成感があるぶん、繰り返しやすいケアです。

5.ピーリング系をいくつも重ねる。 スクラブ、酵素洗顔、BHA、レチノール。それぞれ悪いものではありませんが、全部同時に使うと、何が合っていて何が刺激になっているのか分からなくなります。

やりすぎないことも、立派な毛穴ケアです。

自宅でできる、シンプルなケア

複雑にする必要はありません。基本はこれだけです。

肌の状態に合う洗顔

保湿

紫外線対策

メイクをしているなら、適切なクレンジング

やさしく洗顔

保湿

必要に応じて角質ケアなどを追加する場合も、新しいものを一度にいくつも重ねず、一つずつ試す方が、刺激が出たときに原因を判断しやすくなります。

新しいものを試すときは、一度に複数を変えないでください。合わなかったときに、原因が分からなくなります。

そして、刺激が出た製品は、無理に続けない。 ヒリつき・赤み・かゆみなどを「好転反応だから」と自己判断して使い続けるのではなく、いったん中止して状態を確認してください。強い症状や続く症状があれば医療機関へ相談します。

毛穴や面皰の自宅ケアと皮膚科へ相談したい目安を整理した図

美容でできること・医療に任せること

線を引いておきます。

美容でできること

やさしく洗う

必要以上に触らない

肌の状態に合う保湿

紫外線対策

毛穴を目立ちにくく見せるメイク

自分に合う市販のスキンケアを選ぶ

刺激が出た製品を無理に続けない

医療に任せること

面皰やニキビ(尋常性ざ瘡)の診断

アダパレンなど医療用医薬品による治療

炎症を起こしているニキビ、化膿しているもの

強い赤みや痛みがあるもの

ニキビ痕を残さないための治療

自宅ケアで繰り返す面皰の評価

他の皮膚の状態との見分け

美容の側にいる人間が、写真や見た目だけで「これは角栓です」「これは皮脂腺フィラメントです」と断定することはできません。

言えるのは、「見た目としては、こういう可能性があります」まで。診断は皮膚科の領域です。

皮膚科へ相談したいサイン

以下に当てはまるものがあれば、自宅で粘りすぎず、一度相談してみてください。

赤く腫れている

痛みがある

膿がある

同じ場所を繰り返し触って、傷になっている

面皰やニキビが多数ある

ニキビ痕が残り始めている

市販のケアを続けても繰り返す

急に悪化した

鼻だけでなく、顔全体や胸、背中にも広がっている

自分では何なのか分からず、不安

特に、深くて痛いニキビや、痕が残り始めているものは、セルフケアだけで長く粘らず相談してください。AADも、深く痛みのあるニキビや瘢痕が問題になるニキビでは皮膚科での治療を案内しています。

「こんなことで受診していいのかな」と思う必要はありません。何でもなければ、それも安心材料になります。

よくある誤解を、まとめて整理します

角栓は汚れ?

それだけではありません。角化した細胞と皮脂などがたまったものです。

黒ニキビが黒いのは、汚れているから?

違います。表面の色素(メラニン)や、酸化した脂質が関わるとされています。汚れの色ではありません。

押せば治る?

中身が出ても、詰まりができやすい状態そのものは変わりません。

毛穴パックなら根本的に改善する?

一時的に見た目が変わることと、できなくなることは別です。

オイルなら全部溶ける?

面皰は単純な油の塊ではないので、溶かして取り出せるものではありません。

熱いお湯や蒸しタオルで毛穴を開けば取れる?

毛穴をドアのように開閉する仕組みは確認できません。

冷水で毛穴は閉じる?

永久に閉じるものではありません。

保湿すると詰まる?

製品や肌の状態によります。一律ではありません。

皮脂腺フィラメントは全部取ったほうがいい?

正常な構造なので、ゼロを目指す必要はありません。

よくある質問

「いちご鼻」は医学用語ですか?

いいえ。見た目を表す日常的な言い方で、医学的な診断名ではありません。だからこそ、中身がいろいろ混ざっています。

押すと出てくる白い糸のようなものは何ですか?

皮脂腺フィラメントの可能性があります。ただし、面皰の内容物が出ることもあるので、見た目だけで断定はできません。

毛穴を完全になくすことはできますか?

できません。毛穴は正常な皮膚の構造です。皮脂も、肌や髪を守るために必要なものです。

皮脂腺フィラメントをなくすことはできますか?

正常な構造なので、永久にゼロにすることを目標にするものではありません。目立ちにくくする工夫はあります。

日本でアダパレンを自分で買って使えますか?

使えません。医療用医薬品なので、皮膚科での処方が必要です。

化粧品のレチノールとアダパレンは同じですか?

違います。位置づけも、扱いも別のものです。

結局、いちばん大事なことは何ですか?

「何が見えているのか」を分けること。そして、必要以上に触らないことです。

まとめ

鏡を近づけて鼻を見ると、どうしても気になりますよね。取れると気持ちいいのも、よく分かります。

ただ、そこに見えているものは、全部が同じではありません。毛穴が詰まった黒ニキビや白ニキビもあれば、皮脂を表面へ運ぶ正常な皮脂腺フィラメントもあります。毛穴の影や産毛のこともあります。

黒いのは汚れだからではありません。洗えていないからでもありません。

そして、皮脂腺フィラメントは正常な構造です。押し出して一時的に目立たなくなっても、また見えるようになることがあります。ゼロを目指すと、終わりのない作業になってしまいます。

自宅でできることは、意外と地味です。やさしく洗う。必要以上に触らない。肌に合う保湿をする。紫外線対策をする。合わないものは無理に続けない。それで十分です。

一方で、繰り返す面皰や、赤く痛むニキビ、痕が気になるものには、皮膚科での治療という選択肢があります。自分で押し続ける以外の方法があります。

まず、何が見えているのかを知る。そのうえで、必要以上に触らず、できるケアを選ぶ。

毛穴は消すべきものではありませんし、皮脂も悪者ではありません。うまく付き合っていく方法を、一緒に探していけたらと思います。

執筆:Dolce(美容師歴20年以上)
現場で3万人以上の髪と頭皮を見てきた経験から、「年齢を重ねても美しい髪でいられる方法」を発信しています。

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