SNSや雑誌で見た“透明感たっぷりのグレージュカラー”に憧れて、美容室で「ブリーチなしでこの色にしたいです!」とお願いしたのに…
仕上がりを見て「全然違う…」「なんか重たい…」とガッカリした経験、ありませんか?
その気持ち、私も痛いほどわかります。
美容師として20年以上、多くのお客様から同じ言葉を聞いてきました。私たち美容師も、実は“1回のカラーで写真通りは難しい”という現実を理解しています。
それでも「なるべく理想に近づけたい」と考え、配合を工夫し、技術を尽くして仕上げているのです。
その結果が“今の最大限”であり、お客様と同じように私たちも「これが限界か…」と悔しさを感じる瞬間があります。
この記事では、なぜ写真通りの色にならないのか、そしてそれでもできる限り近づけるための現実的な戦略を、美容師の本音とともにお伝えします。
1. SNSの髪色にならない…その理由は?
原因はあなたの髪質や技術の問題ではなく、「SNSの写真」と「あなたの髪の現実」が違うから。撮影条件・加工・施術履歴が仕上がりを大きく左右します。
2. 「ブリーチなしでも透明感カラー」は本当?
“条件次第で可能”な場面もありますが、SNSの仕上がりと同一視はできません。実際の写真の多くは…
- ✅ 過去にブリーチ履歴がある(今回はしていないだけ)
- ✅ 一度明るくしてから色をのせる「ダブルカラー」をしている
- ✅ 光・露出・フィルターなど写真加工が入っている
3. 美容師が見ている“色が違って見える”3つの現実
① 過去ブリーチの影響
以前のブリーチで内部が明るくなっていると、同じ薬剤でも発色が別物に。これが「ブリーチなしでこの色」の誤解を生みます。
② ダブルカラー(2回染め)の存在
ブリーチを使わずに、トーンアップ→色味オンの2工程を行っているケース。1回染めでは出しづらい透明感が出ます。
③ 写真加工・照明マジック
自然光・露出・フィルターで透明感は簡単に演出可能。画面の色=現実ではありません。
4. 髪の中では何が起きている?|赤・青・黄のメラニン構造
黒髪は赤・青・黄のメラニンが混ざって黒に見えます。明るくすると…
- 🔵 先に「青」が抜け、赤+黄=オレンジに見える
- 🔴 次に「赤」が抜け、黄(金髪)が残る
透明感の鍵は「赤みをどこまで減らせるか」。ブリーチなし・1回染めでは赤が残り、中明度のオレンジ寄りブラウンになりがちです。
5. なぜ“1回のカラー”では限界があるのか
日本人は赤メラニンが多いため、赤み・オレンジみが残りやすい。
その状態でアッシュやグレージュをのせても、赤が透けてくすみ切らない=透明感が出にくいのです。
美容師の本音:「1回で写真通り」は構造上むずかしいことが多い。だからこそ“戦略”が必要です。
6. 透明感に近づけるための“現実的な選択肢”
① ブリーチあり・なしの比較
方法 | メリット | デメリット | 向いている人 |
---|---|---|---|
ブリーチあり | 高い透明感・寒色再現◎ | ダメージ・時間・費用増 | SNS級の発色を狙いたい |
ブリーチなし | ダメージ少・自然 | 色幅・透明感に限界 | 髪の健康・ナチュラル重視 |
② 「1回カラー」と「2回カラー」の決定的違い
- 1回カラー: 明るくする・色を入れるを同時に一発で実行。赤が残ったまま色が重なり、表現に限界が出やすい。
- 2回カラー(ダブルカラー): 抜く作業と色を入れる作業を分業。まず赤みをしっかり処理→狙い色を正確にオン。透明感・色味の自由度が大幅UP。
美容師の本音: ダブルカラーは“贅沢”ではなく、やりたい色を再現するための手段です。
③ 段階的に“赤み”を減らす(育てるカラー)
- 1回目:赤み抑制のベージュ/アッシュでベース作り
- 2回目:さらに赤を削り、くすみ系を重ねる
- 3回目:理想のグレージュ・寒色に寄せる
④ 加工ナシの写真でオーダーする
自然光・無加工の写真 or 動画のスクショを使うと、仕上がりのズレが激減します。
7. 美容師からの本音|「できない」じゃない、「戦略が必要」
「ブリーチなしで写真通りに」は難しい。それでも、履歴を共有し・現実を理解し・段階的に色を育てることで、確実に理想へ近づけます。
美容師の本音: 今回が1回目なら“写真通り”には届かないと分かっていても、可能な限り近づけたいと思って配合・施術を組みます。仕上がりは“その日の最大値”。私たちも「ここが限界だな…」と悔しさを感じることがあります。
8. まとめ|正しく知れば、理想に近づける
- SNSの色は「過去ブリーチ」「ダブルカラー」「加工」など前提が違う
- 日本人の赤み構造上、1回カラーでは透明感に限界がある
- ブリーチ有無の選択・2回カラー・段階設計で理想に寄せられる
大切なのは現実を知って、正しい戦略をとること。美容師はそのパートナーです。あなたの履歴・希望を本音で共有してください。次のカラーは、きっと今までより満足度が高くなります✨
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