こんにちは、DOLCEです。美容師として20年以上サロンワークをしてきました。
「産後の抜け毛が止まらない…」「このまま薄毛になったらどうしよう」そんな声をたくさん聞いてきました。
結論から言うと、産後の抜け毛は一時的で必ず回復します。
今日はその理由と、安心して取り組めるケア方法を詳しく解説します。
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産後の抜け毛はなぜ一気に起こるのか?
人は1日に 50〜80本 の髪が自然に抜けます。
ところが妊娠中は女性ホルモン(エストロゲン)の働きで、本来抜けるはずの髪がストップされるのです。
これはちょうど、ホースの先をギュッと握って水を止めている状態に似ています。
本来なら流れ続ける水(=毎日少しずつ抜ける髪)が中にたまり、出られなくなっているのです。
出産後にホルモンが通常に戻るのは、その手を離す瞬間と同じ。
止められていた水が ドバッと一気に流れる ように、髪もまとめて抜けてしまうのです。
💡でも安心してください。
手を離した後、水流が自然に元に戻るように、髪のサイクル(ヘアサイクル)も自然に戻ります。
つまり「一時的に抜けただけ」で、毛根は生きていて、必ずまた新しい髪が生えてきます。
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ヘアサイクルを正しく知る
髪には「ヘアサイクル」と呼ばれる生え変わりの周期があります。
1. 成長期(2〜6年):髪が太く長く伸びる時期
2. 退行期(2〜3週間):成長が止まる時期
3. 休止期(3〜4か月):抜ける準備をしている時期
4. 脱毛期(数日〜数週間):古い髪が抜け、新しい髪に入れ替わる時期
産後は一時的に休止期や脱毛期の髪が増えるため「ごっそり抜けた」と感じますが、新しい髪の準備はすでに進んでいます。
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どのくらいで回復するの?
抜け毛のピークは 産後3〜6か月
多くは 産後1年ほどで落ち着く
2年目には「増えてきた」と実感する人が多い
👉 放っておいても回復する自然現象ですが、生活習慣やケア次第で回復スピードや髪の質は変わります。
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正しいケアが必要な理由
「放っておいても生えるなら、ケアは不要では?」と思うかもしれません。
確かに髪は自然に戻ります。
ただし、栄養不足や頭皮環境の悪化があると回復が遅れたり、新しい髪が細く弱くなったりするリスクがあります。
だからこそケアは「生えるかどうか」ではなく、“どんな状態で戻るか”を左右するサポートと考えてください。
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ケア① 栄養を整える
産後は授乳や生活リズムの変化で栄養不足になりやすいです。特に鉄分不足は抜け毛を長引かせる要因。
鉄分:赤身肉、レバー、ほうれん草
ビタミンC:鉄の吸収を助ける(柑橘類、いちご)
タンパク質:髪の主成分(肉・魚・卵・大豆製品)
頭皮コラーゲン:土台が弱まると毛を支えられにくい。→ ビタミンC+タンパク質で合成を助ける
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ケア② 頭皮環境を整える
予洗いを丁寧に:シャンプー前のすすぎで8割の汚れが落ちます。
やさしい洗浄剤を選ぶ:アミノ酸系(ココイルグルタミン酸Naなど)。強すぎる洗浄剤(ラウレス硫酸Naやオレフィン系)は避ける。
“洗うより流す”を意識:ゴシゴシよりしっかりすすぎが大事。
完全ドライ:半乾きは頭皮トラブルの元。根元まできちんと乾かす。
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ケア③ 髪型の工夫(牽引性脱毛の予防)
産後のデリケートな時期に、強く結ぶポニーテールやお団子は負担になります。
長期間続けると「牽引性脱毛症」といって物理的に髪が抜けやすくなることも。
どうしても結ぶときは、
ゆるくまとめる
結ぶ位置を変える
柔らかいゴムやシュシュを使う
など、頭皮に負担をかけない工夫をしましょう。
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ケア④ 美容室でできること
「産後だからカラーは我慢しなきゃ?」と思う方もいますが、工夫次第で楽しめます。
頭皮に薬剤をつけない塗布(オフスカルプ)
過酸化水素を除去する後処理
施術後に弱酸性に戻すアフターケア
ボリューム感を補うカット提案
こうした施術を取り入れているサロンもあるので、事前に相談すると安心です。
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やってはいけないこと
強い洗浄剤の使用
無理なダイエット(栄養不足は抜け毛を長引かせる)
半乾きのまま放置
強い結び方や同じ分け目を固定
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まとめ:安心して、回復をサポートするケアを
産後の抜け毛は一時的。ホースを離した時の水流のように、一気に抜けるけれど自然に戻る。
ヘアサイクルは正常に働いていて、新しい髪は必ず生えてきます。
ケアの目的は「生えるかどうか」ではなく「どう生えてくるか」。
栄養・頭皮環境・髪型・美容室の工夫で、回復をよりスムーズに。
不安になったら美容師に相談してください。必ずまた元に戻ります。
産後の薄毛はなぜ起こる?原因と正しいケア方法【美容師が徹底解説】

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