「3〜4ヵ月はカラーしなくて大丈夫」「根元が気にならない」…最近よく聞く“ブリーチを使った白髪ぼかし”のキャッチコピーですが、実は少し誤解があります。
20年以上白髪カラーと向き合ってきた美容師の立場から、本当の寿命と、なぜ“楽になる”のかを冷静に解説します。
「3〜4ヵ月もつ」は半分正解・半分誤解
ブリーチを使った白髪ぼかしは、根元が伸びても境目が目立ちにくいデザインを作れます。ただし、髪が伸びるスピード自体は変えられません。
髪は1日に約0.3〜0.4mm、1ヵ月で約1cmほど伸びるため、白髪は毎日新しく生えてくるという事実は不変です。
したがって「3〜4ヵ月カラーしなくてOK」という意味ではなく、3〜4ヵ月経っても強いストレスを感じにくいデザインにできる、という理解が正確です。
白髪率20%前後で期待できる“延命効果”(※目安値)
白髪が全体の20%前後(目安)なら、細いブリーチハイライトが有効。
白と地毛のコントラストを筋で分散することで、境目が線になりにくくなります。
この段階では、従来よりカラー周期を2〜3週間ほど遅らせられる可能性があります。
ただし全員に当てはまるわけではないため、「人によっては」という前提は維持してください。
ブリーチは“延命目的で使うのか”を考えて選ぶのがポイント。単に長持ち狙いだけでの一律使用は推奨しません。
白髪率70%前後は“デザイン切替”が自然(※目安値)
白髪が70%前後(目安)になると、全体の“白=明るさ”を活かす発想が有効です。
細かい筋を足すより、全体を明るくして白をデザインに取り込む方が自然に馴染みます。
仕上がりが明るいベースだと、根元の伸びが出てもコントラストが強く出にくく、結果として長い期間“自然さ”が続きやすい設計にできます。
ただし、毛先が暗い履歴の場合はつながりの作り方に注意が必要です。
「2〜3週間の延命」と「3〜4ヵ月快適」は別物
- 2〜3週間の延命:白髪率が低めの人に起きやすい効果。美容院に行く周期を少し遅らせられる。
- 3〜4ヵ月快適:白髪率が高め、または明るいベースのデザインを選んだ人に起きやすい効果。伸びても「気になりにくい状態」で過ごせる期間。
前者は周期の延長、後者は見た目の快適性維持。似て非なるものです。
どちらを重視するかで、ブリーチの要否や設計が変わります。
「3〜4ヵ月もつ」の本当の意味と前提条件
「3〜4ヵ月もつ」を、“周期を3〜4ヵ月にできる”と解釈するのは誤りです。
正しくは「3〜4ヵ月経っても強い違和感が出にくい」という意味合いで、白髪率・明度差・分け目・髪質・生活スタイルに大きく左右されます。
つまり結論は、人それぞれの“許容ライン”しだい。気になるタイミングを自分で把握しておくことが、後悔しないカラー選びの近道です。
まとめ:白髪ぼかしは“楽にする手段”、ゼロにする魔法ではない
- 「3〜4ヵ月もつ」は周期延長ではなく快適性が続くの意。
- ブリーチは延命(2〜3週間)と快適期間の確保という二つの役割がある。
- 20%/70%は目安。設計は白髪率・履歴・髪質で変わる。
- 最終判断は自分の許容ラインと仕上がりの明度設計で。
よくある質問(FAQ)
- Q. ブリーチなしでも白髪ぼかしは可能?
- 履歴と髪質次第で可能です。暗い履歴が強い・赤みが強い場合は、細いブリーチハイライトやトナー調整が安全です。
- Q. 本当に3〜4ヵ月カラーしなくて大丈夫?
- 「周期を3〜4ヵ月にできる」という意味ではありません。伸びても気になりにくい快適性が続く可能性を指します(条件付き)。
- Q. 白髪率の“20%”“70%”は絶対値?
- いいえ、あくまで現場目安です。±10%程度の幅があり、最終判断は履歴・髪質・明度差で行います。
- Q. ブリーチはダメージが心配…
- 細いスライス・低アルカリのトナー・処理剤・放置時間の最適化で最小化できます。目的が延命か快適性かを明確にして設計します。
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